MSが仮想化戦略を発表――ライセンス緩和、Citrixとの提携強化も

Microsoftは「Dynamic IT構想」を掲げ、仮想化技術を推進する。デスクトップからデータセンターまでカバーする仮想化ソリューションなどに取り組む。

» 2008年01月22日 17時04分 公開
[ITmedia]

 米Microsoftは1月21日、仮想化技術の採用を促進するための戦略を発表した。仮想化企業の買収やCitrix Systemsとの提携強化、新ツールなどが含まれる。

 同社は30万の顧客とパートナーに向けた電子メールおよびVirtualization Deployment Summitで、IT専門家と開発者向けの全社的な構想と長期的な戦略の一環として、仮想化分野の戦略と投資について説明した。この「Dynamic IT構想」は、いつでもどこでも適切なリソースを提供し、より効率的で柔軟で、コスト効率が高いIT環境を作ることを目指しているという。仮想化はこの構想を推進する重要な要因だとして、同社は「柔軟なクライアント・サーバソリューション」「統合型管理ソリューション」「広範な採用の促進」に注力すると述べている。

 「柔軟なクライアント・サーバソリューション」では、デスクトップからデータセンターまでカバーする仮想化ソリューション一式を提供することを目指す。その一環として、MicrosoftはCalista Technologiesを買収した。Calistaはリッチメディアや3Dグラフィックスにも対応したデスクトップ仮想化ソリューションを手掛けている。買収金額は公表していない。

 またこの取り組みの下、「Windows Optimized Desktop」も提供する。デスクトップ管理、ユーザーの移行、管理の変更などを柔軟に、効率的にするツールという。Windows Vista、Microsoft Desktop Optimization Packなど各種Microsoft製品に対応する。

 「統合型管理ソリューション」に向けた取り組みでは、ハイパーバイザー「Hyper-V」などのインフラ仮想化ソフトを、Microsoft System Centerなどの包括的な管理プラットフォームと一緒に提供して、仮想的、物理的なインフラ・アプリケーションの両方を管理できるようにする。

 その一環として、Citrixとの提携の下、Citrix XenServerとWindows Server 2008 Hyper-Vの間で簡単に仮想マシンを切り替えられるツールを提供する。β版は第2四半期に、正式版はHyper-Vリリースと同時期にCitrixから提供される。

 最後に、仮想化の「広範な採用の促進」を目指す施策として、MicrosoftはCitrixと新しいクライアントコンピューティング製品を共同で販売する。CitrixのXenDesktopコネクションブローカーを、Windows Optimized Desktopソリューションと連係させる。

 またMicrosoftはWindows Server 2008発売の際に、仮想化技術導入の計画・実施を支援する「Virtualization Solution Accelerators」を投入する。Officeでも仮想化に対応し、Microsoft Application Virtualization 4.5とSoftGrid Application Virtualization 4.2の両方を走らせているときに、Microsoft Office 2003と2007をサポートする。つまり、複数のバージョンのOfficeを、同じデバイスで並べて使えるようになるということだ。

 さらにライセンス緩和で採用を拡大するべく、企業のWindows Vistaユーザー向けに、PCやシンクライアントからサーバ上の仮想マシンでWindowsを実行するためのライセンス「Windows Vista Enterprise Centralized Desktop」を値下げする。Software Assurance加入者が対象で、値下げ後の価格はデスクトップ1台当たり年額23ドルとなる。コンシューマー向けには、これまで仮想化が使えなかったWindows Vista Home Basic、Windows Vista Home Premiumも仮想マシン環境で利用できるようにする。

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