Zend StudioはデフォルトでIPポート10000をデバッグに使用する。このポート10000はWebminといったメジャーなアプリケーションも使用するため、Zend StudioとWebminとを併用する場合はどちらかのポートを変更しなければならない。またマルチプラットフォーム対応型の開発をするユーザーにとってありがたいことに、現行のZend StudioはUbuntuおよびWindows XPでの正常な動作が確認されている。そのほか、Ubuntuのアンチエイリアシング機能も利用できるので、必要な設定さえ施せば目に優しい画面表示とすることもできる。
消費するコンピュータリソースについても、Zend Studioは適度な範囲内に収まっている。例えばUbuntuで使用する場合のメモリ消費量は200Mバイト以下であり、最近のコンピュータであれば特に問題なく実行できるはずだ。
今回のレビューをする際に、わたしは幾つかのトラブルに遭遇した。具体的にはWindows上でのPHPDocファイル生成時にZend Studioが反応しなくなり、PHPDoc用のダイアログウインドウが表示される前にphp-cgi.exeが実行を2度停止したというものである。ほかのマシンにおいてこの現象は再現されていない。またZend Studioでは、Subversionを使用していてもそれが認識されなかったり、ほかのIDEでは行えるワーキングコピー中のファイルを個別に開くというSubversionの機能が使えないという問題も確認している。
総評としてZendは今回のリリースにて、以前よりかなりの完成度に達していたIDEにさらなる改善を施してくれたといっていいだろう。わたしが実際に Zend Studio for Eclipseを使用した感想としても、従来のバージョン5.5よりも快適に操作することができた。個人ないし企業として使用するソリューションをこれから探すという場合、その候補としてZend Studioを試してみる価値は十分にあるはずである。
Peter Manisは、PHPアプリケーション開発者としての4年の活動実績があり、各種のPHP用IDEに関する豊富な使用経験を持つ。
連載第1回 PHP開発でZend Frameworkを知らないだなんて嘘ですよね?
連載第2回 Zend Frameworkの各コンポーネントを一気に制する
連載第3回 ブログツールで学ぶ実践的Zend Frameworkの使い方
最終回:「ソースは明かせない……」――ソースコードをバイナリ/難読/暗号化するCopyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.