力武健次――在野の孔明、問題解決の彼岸にみたプログラムの本質New Generation Chronicle(8/8 ページ)

» 2008年02月06日 04時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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IPv6でハッピーになるとか、あまり思わない方が……

Q89 あなたにとってプログラムとは何ですか?

problem solving。

Q91 プログラマー以外であればどんな職に就きたいですか?

仕事として、他人に対して競争できるスキルは、problem solvingぐらいしかない。ほかにやってみたいことはたくさんあるけど、それは「職」たり得ないでしょう。

Q92 インターネットは10年後、どのように進化していると思いますか?

変化はするだろうが、進化してるとは言い切れないと思う。いろいろなものをつなげてみる人たちが増えて、それで問題も増える。組み込み機器の世界は楽しそうだけどね。新しいといわれているものでも、時間を掛けて作り上げてきているものも多いわけです。例えば、IPv6も、1994年に今の姿にすることが決まってからもうずいぶん時間が経ってますが、まだまだ問題が多い。

 日常生活を支える技術は、そう簡単に進化はできるものではないと思います。現に今仕事で使っているX11も、LaTeXも、BSD UNIXも、基礎技術は20年近く前から変わっていない。

 小飼さんの話を読んでいて笑ってしまったのが、「絶滅せよSMTP」。これには思いっきり納得できてしまいました。SMTPが性善説であることも問題の1つだけど、SMTPの実現している電子メールがたまたまビジネス基盤の一部になってしまったので、SPAMの問題などに対処するため、転送や受信のシステムが複雑になり過ぎてしまっています。このため、メンテナンスできる人たちがどんどん減っている。

 今の調子でスキルのあるシステム管理者が減っていく状態だと、電子メールはシステム管理者が辞めて人手不足で使えなくなるんじゃないかと、先日冗談で元同僚と話していました。DNSも同様の事態になる可能性がありますが、ドメイン名は知的所有権が確立されているから、こちらは経済的なインセンティブが強いし、syntaxが同じでも別の実装もあり得るから、残るでしょう。

 いずれにしても、IPv6でハッピーになるとか、あまり思わない方がいいとは思う

Q93 プログラミングの未来についてどう考えていますか?

Concurrencyの問題の想像力をあまり必要とせず、さりげなく並列処理が実現できるような枠組みができるとうれしいかもしれない。ネットワークは今後ただのハードウェア化していくので、インターネットがちょうどCPUとメモリの間をつなぐ役割をしたり、もろもろの機能がより分散化されていくと思います。そのときに、Webのようなクライアント/サーバベースの世界がどうなっていくかは、考え直す必要が出てくるんじゃないかな。

Q95 ロボット3原則をまねてプログラマー3原則を考えてみてください。

  1. プログラマーは意図的に他者に危害を及ぼすようなプログラミングをしてはならない。また、脆弱性を看過することによる不作為の害を及ぼしてはならない
  2. プログラマーは依頼主の意図を可能な限りプログラミングによって実現しなければならない。ただし、1)に反する場合を除く
  3. 1)、2)の原則の順守はプログラマーがプログラマーたり得ない心神喪失、あるいは人間としての障害を負いかねない場合はこれを拒否することができる。

……やはり小飼さんのとそっくりになってしまった。

Q96 この質問に項目を追加するとすれば、どんな質問を加えたいですか?

プログラミングを表現するための適切な日本語を考案してください……というのは、皆やっているけど、難しいだろうな。

Q97 あなたが「この人の回答が見たい」と思う人を3人挙げてください

ポール・ビクシー(Paul Vixie)、ジョン・ポステル(Jon Postel、故人)、itojun(故人)。

Q98 未来の開発者たちに一言

コードの書き過ぎに注意。人はコード書きのみにて生きるにあらず。

Q99 昨年(2007年)1番のニュースは?

ことプログラミングに関していえば、世界がitojunを失ったこと。

Q100 自分が実際に会ったことがある人の中で、「この人に回答してほしい」という人は?

砂原秀樹さん、山口英さん、加藤朗さん。皆、スーパーな方たちです。

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