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» 2008年02月20日 07時30分 公開

モバイルセントレックス導入のコスト比較と留意点モバイルセントレックスのススメ(2/2 ページ)

[三浦竜樹,アイ・ティ・アール]
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モバイルセントレックスの留意点と展望

 最後にモバイルセントレックス導入における留意点について考えてみよう。

 まず、気になるのが「VoWLAN(VoIP:Voice over IPを無線(Wireless)LAN上で行うこと)」における音声品質の低下である。初期の無線LANモジュール内蔵の携帯電話機は、IEEE 802.11bという1世代前の規格のモジュールが搭載されており、通信帯域も論理値で11Mbpsと十分ではなく、また、同時に制御可能なチャンネル数も少なかった。このため、オフィス内での通話品質の低下を招いていた。話の内容が分からないことはないが、営業担当者などからは顧客との通話中に音声が途切れるなどの問題を心配する声が聞かれた。

 しかし、現在の端末では帯域幅の論理値が54Mbpsと向上したIEEE 802.11a/gを利用している。IEEE 802.11aは、2.4GHz帯を利用するb/gのような電波干渉が起きる可能性の低い5GHz帯を利用するなど、端末の無線LAN機能が向上している。今後は音声品質に対する評価の向上も期待できるだろう。

 また、無線の特性から電波干渉は避けて通れない問題であり、無線LANアクセスポイントの設置にはそれなりのノウハウを必要とする。通話品質を保つためには、導入実績の豊富なシステムインテグレーターを選定することが重要だろう。

 モバイルセントレックスに直接関係しないが、国内の携帯電話機販売の特殊性から、無線LAN搭載端末の少なさが企業向けの端末の高コスト化を生んでいた。だが、コンシューマー市場で契約台数の飽和しつつあることから、携帯電話キャリアが企業向け戦略へシフトしつつあり、無線LANモジュールを搭載するスマートフォンの台頭もある。今後は、企業向け端末の価格がある程度下がることが期待できるだろう。

 しかし、モバイルセントレックスには、論理値ながらも54Mbpsという広帯域の電波を最大限に活用できる魅力的なキラーアプリケーションの不在である。

 前回でも述べたが、企業におけるモバイル端末の利用は、電子メールおよびグループウェアへアクセスするといった程度にとどまっているのが実態だろう。広帯域の特性を生かしたWeb会議システムへの展開といったことが期待されるが、それでも実際は顔を映す程度であり、本来の会議の目的である資料の共有、協働で情報をブラッシュアップしていくという作業は携帯電話の画面サイズから考えても、難しいのが現状だ。

 これまで述べたように、モバイルセントレックスにはメリットとデメリットが微妙なバランスで混在しており、業界の予測ほど普及が進んでいない。ただし、今後のユビキタス社会におけるワークスタイルおよびライフスタイルを考えれば、公私共にFMC(固定電話と携帯の融合)は必然であり、技術革新が著しく進むことも容易に想像できる。モバイルセントレックスの導入を検討する企業のIT部門においては、自社の業務要件に照らして、投資のタイミングなどを正確に見極めることが大切になるだろう。

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