Dell減益の背景にはビジネスモデルの変更が(2/2 ページ)

» 2008年03月03日 15時15分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 米国ではDellは現在でもPCベンダーとしてトップの座を維持しており、Forrester Researchのレポートによると、同社は依然として企業向けのデスクトップとノートPCの分野ではナンバーワンプロバイダーであるが、同社が強い基盤を持っている米国を含む南北両アメリカでの総売上高の前四半期の増加率は8%にとどまり、世界のほかの地域の伸び率を下回った。ベイカー氏によると、米国経済の減速がさらに進めば、Dellが抱えている問題が増幅する恐れがあるという。

 「金融サービス分野はIT投資が大きい業界であり、同分野の動向は広範な影響を及ぼす可能性がある」とベイカー氏は指摘する。「Dellは何年もの間、米国内での販売に大きく依存しており、安定した売り上げと利益を確保するのに必要な事業分散化を実現していない」。

 一方、いわゆるBRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)では、Dellのビジネスは米国市場よりも好調で、売り上げは36%、出荷台数は50%の増加となった。日本をはじめとするアジア太平洋地域では、売り上げが28%、出荷台数は41%増加した。

 Dellとは対照的にHPは事業分散化を実現しており、同社の売り上げの約70%は米国外での販売によるもの。HPのマーク・ハード社長兼CEOは2月19日、同社の第4会計四半期の純利益は21億3000万ドルだったと発表し、マクロ経済をめぐる懸念にもかかわらず、向こう3カ月間の自社の業績に関して強気の見通しを示した。

 Dellは次の四半期の業績予測を示していないが、デル氏はアナリスト向けの電話会見で、「米国経済の減速が続いても、企業はコスト削減と業務の効率化のためにITに投資するだろう」と述べた。

 American Technology Researchのショー・ウー氏は調査メモの中で、事業の拡大と運営の合理化を目指したデルの取り組みは、向こう数四半期にわたって利益を圧迫する恐れがあると指摘している。

 「人員削減によるコスト削減は、顧客サービス改善のための研究開発の増大および小売り販売構想によって相殺される可能性がある」とウー氏は記している。「HPとAppleは相変わらず非常に手ごわいライバルであり、サプライチェーンコストでDellとの差を縮める一方で、コンシューマー市場と海外市場でのプレゼンスを拡大した。加えて、AcerとLenovoも依然として有力な競合企業だ」。

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