日本オラクルの「圧力団体」、Fusionを迎え撃つ

「日本オラクルに圧力をかけるのが仕事」と話すのは、日本ユニシスのCIO平岡昭良氏。日本オラクルへの圧力団体を自負する日本OAUGの会長という肩書きも持つ。

» 2008年03月12日 15時27分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 「日本オラクルに圧力をかけるのが仕事」と話すのは、日本ユニシスのCIO(最高情報責任者)で上席常務執行役員を務める平岡昭良氏。平岡氏は、日本オラクルへの圧力団体を自負する日本OAUGの会長という肩書きも持つ。OAUGはOracle Applications Users Groupの略で、米国に本部を置くOracleのユーザーグループだ。

 日本OAUGは、Oracleのアプリケーションユーザーとして、機能追加の要望などをOracleおよび日本では日本オラクルに伝え、実現を迫る。Oracleにかかわるパートナー企業や日本オラクルとの交流を図り、システム導入方法などの情報交換をする場でもある。

日本オラクルに対して「エンハンスメントリクエスト(拡張要求)への対応がなっていない」と指摘したという平岡氏

 平岡氏が特に強調するのは、Oracle製品の機能改善の要求を出すことだ。日本の商習慣に対応していないアプリケーションを利用するのは難しいという。

 例えば、平成19年度の税制改正で「減価償却制度」が抜本的に見直された。平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産に対する計算方法が変更され、既存資産の償却方法も変わった。こうした要件に対処するよう日本オラクルに要望を出し、対応を約束させたという。

Fusionに行くか、行かざるべきか

 平岡氏によると、現在Oracleのアプリケーションユーザーにとっての関心事は「Fusionに行くべきか、行かざるべきか」だという。米Oracleは2006年4月のOAUGカンファレンスで、買収したソフトウェアの機能をSOA(サービス指向アーキテクチャ)で統合した「Fusion」を本格的にリリースした後も、買収企業のソフトウェアの個別開発を継続する計画「Applications Unlimited」を明らかにしている。

 PeopleSoftやJDEdwardsなどのユーザーは少なくとも、慌ててFusionあるいは別のアプリケーションに移行する事態は避けられた。日本OAUGの広報を担当するユー・エス・イー副社長の吉弘京子氏も「Applications Unlimitedは成功だった。なければ多くのユーザーが混乱したはずだ」と話す。ユーザーにとってApplications Unlimitedが、次のアプリケーション選定までの「時間稼ぎになった」(平岡氏)という。

 Oracleは2008年にFusion Applicationsをリリースすると明言している。旧PeopleSoft、JDEdwards、Siebel、Retekなどのユーザー企業は、同じソフトウェアのバージョンアップを選ぶか、Fusionを選択するかという問題に直面することになる。

 「多くのユーザー企業はまだ決めていない状況」と平岡氏は指摘。「Fusionの機能を見極めることになるだろう」(同氏)。Oracleのデータベース、その上のFusion Middlewareとの連携、仮想化の効果などもポイントになる。

 そんな中、平岡氏は「データベースの仮想化機能を心待ちにしている」と話す。2月8日に開催されたイベント「Connection Point 2008 TOKYO」で、日本オラクルがデータベースを仮想化する技術の実装を明らかにしたという。

 「データベースをサービス単位で扱えるようになることで、SOAの利点が明確になる」(平岡氏)

 なお、日本OAUGには日本オラクルが出資している。日本オラクルとしてもユーザーの意見を聞くための貴重な情報源という位置づけだ。発足は1998年秋。当時参加企業は30社だった。

 その後、OracleがPeopleSoft、JDEdwards、Siebelなどを買収したことにより増え続け、2005年12月に126社、2006年6月に229社、2007年6月に301社となり、現在は344社、1200人以上の会員を抱えている。内部では、SCM(サプライチェーンマネジメント) SIG、FIN(会計業務)SIG、PeopleSoft SIG、JDE SIG、Siebel LS SIGなど9つの分科会が活動している。

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