NovellのWordPerfectめぐる対MS訴訟、米最高裁が継続認める

Microsoftは棄却を求めていたものの、「Microsoftが独占力を利用してWordPerfectをつぶした」としてNovellが起こした訴訟は続行されることになる。

» 2008年03月18日 17時11分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 ビジネスでは友人、法廷では敵。米Novellは3月17日、Microsoftの異議申し立てをものともせず、同社の対Microsoft独禁法訴訟を進めるべきだと米最高裁を説得することに成功した。

 MicrosoftとNovellは過去18カ月間、強固な技術・マーケティング提携を形成してきたが、NovellはMicrosoftがWordPerfectに与えた損害に対して数十億ドルの賠償を求めて起こした独禁法訴訟をあきらめることはなかった。

 Bloomberg.comによると、最高裁は「コメントなしで、Novellは連邦独占禁止法の下でMicrosoftを訴えることができるとする下級審判決を支持した」。下級裁、つまりバージニア州リッチモンドの第4巡回区控訴裁は、NovellがMicrosoftに対する訴訟を継続することを認めていた。

 Microsoftは、Novellが1990年代半ばにWordPerfectを所有していたときは、OS分野では競合していなかったため、この訴訟に根拠はないと主張していた。同社はこの主張を証明できなかった。

 Microsoftはまた、かつてワープロソフトの中で最も人気のあったWordPerfectがMicrosoft Officeに破れたのは、Novellのビジネス上の決定に問題があったためだと主張してきた。Novellが最初に訴訟を起こした当時、Microsoftは次のように訴えていた。「お粗末な決定とビジネス上のミスが、WordPerfectが消費者からそっぽを向かれた理由であることは明らかだ。Novellが8年以上前に売却した、短期間しか所有していなかった事業をめぐって訴訟を起こしたのは残念でもあり、意外でもある」

 Novellは、Microsoftは同社にWindows 95の重要な技術情報を提供しなかったと反論した。このためNovellは、Windows 95互換のWordPerfectを提供することがほぼ不可能になったという。Novellはまた、Microsoftは意図的に、完全に機能するWindows版WordPerfectの開発が困難になるよう、Windows 95に手を加えていたとも主張した。

 1990年代半ばに、NovellはWordPerfect Corporationを12億ドルで買収し、WordPerfectを取得した。その後同社はかつて人気のあった表計算ソフト「Quattro Pro」をBorlandから買収した。当時NovellのCEOだった故レイ・ノーダ氏の使命は、Microsoft Office 95に対抗するNovellオフィススイートを作ることだった。

 ノーダ氏はこの取り組みを進める前に健康上の理由で引退した。次のボブ・フランケンバーグCEOの下で、Novellは1996年にWordPerfectをCorelに1億7000万ドルで売却した。現在、CorelはWordPerfectの販売を続けているが、その人気はかつてと比べると非常に低い。

 裁判所は、MicrosoftがWindowsに手を加えてWordPerfectが機能しないようにしたというNovellの主張は退けたが、Microsoftのメーカーに対する不正なマーケティング手法とOSの独占がWordPerfectの失墜の直接的な原因になったという主張をNovellが追求することは認めた。

 EU(欧州連合)でも同様の申し立てがなされており、EUは2月末にMicrosoftに13億5000万ドルの罰金を科した。またEUは、Microsoftがネットワーキングソフトに関する独禁法訴訟の和解条件に従っていないと判断しており、それに関して監視を続けている。さらにEUの執行機関は、Microsoft製品と他社製品の相互運用性と、ソフト製品のバンドルに関して新たに2件の調査を開始した。

 Microsoftは声明文で、最新の法廷での敗北に懸命に対処している。「最高裁が毎年、申し立てのうちごくわずかしか審理していないことは分かっているが、訴訟続行への反対を申し立てたのは、独禁法違反を主張していいのは誰かという疑問を解決する機会だったからだ。裁判所でこの問題やその他の重要な問題に取り組むのを心待ちにしている。12〜14年前のNovellの主張に根拠がないことが事実により示されると確信している」

 いずれにしても、NovellがMicrosoftに対する数十億ドルの独禁法訴訟を続ける道は開かれた。LinuxとWindowsのクロスプラットフォーム開発でどれほど親しくしていても、2社は依然として敵だ。

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