スキャンアールとエコモットは、ともにモバイルシステムが顧客サービスの柱になっている。
スキャンアールは米scanRが2006年にサービスを開始し、日本では2007年1月からサービス展開している。ユーザーが携帯電話のカメラで撮影した名刺や紙文書の画像データを同社のサーバへ送信すると、サーバがPDFなどのデジタルデータに変換する。ユーザーはブラウザでデータを閲覧・管理したり、ファイルデータとしてダウンロードしたりできるサービスだ。
同社のサービスでは、斜め方向から撮影した対象物の画像データであっても高い精度で認識し、閲覧しやすいように画像処理をして、デジタルデータ化するのが最大の特徴。現在、KDDIのauでは公式サービスとしても登録され、約2万人の国内ユーザーを獲得している。米国は100万人規模だという。
特にビジネスユーザーからは、手軽に紙文書をデジタルデータにしてペーパーレス化を図れるとの評価を獲得しているという。名刺などの情報はSalesforce.comなどと連携もできる。また、セキュリティを重視し、同社ではデジタル化したデータをユーザーが保有するサーバで管理するサービスも提供している。
同社では、「画像認識エンジンに注力しており、ロゴマークだけで企業名を識別したり、独自のデータベースを照合して氏名などのふりがなを正しく認識できるようにしている」という。こうしたサービス内容の充実ぶりが受賞理由となった。
エコモットの「ゆりもっと」サービスは、ロードヒーティング装置を携帯電話から操作できる。ロードヒーティング装置は、道路上に降り積もった雪を路面の下に埋設した配管の温水で溶かす融雪装置で、ボイラーで水を温めている。同サービスではこのボイラーの操作を携帯電話でできるようにしたものとなっている。
利用者の多くは、マンションやアパートの経営者で、駐車場や敷地内にロードヒーティング装置を導入している。ゆりもっとでは携帯電話でボイラーのオン/オフ操作や、静止画像による積雪状況の確認、装置の故障や降雪の始まりなどの情報をショートメッセージで利用者に通知するようにもしている。
ユーザーの操作指示は、携帯電話網を経由してボイラー装置に内蔵された通信モジュールで処理する仕組みだ。逆に装置の情報や撮影画像をサービスシステムにアップロードする。これらの仕組みにより、利用者は効率的にボイラーを操作できるようになり、燃料となる灯油の使用量を削減するといったメリットを得られた。
同社では2007年からサービスを始めたが、現在までに100件の導入があり、1件当たりの灯油使用量を平均で30.4リットルから15.9リットル(冬シーズン期間)に削減できる効果が確認されたという。燃料コストは導入規模全体で約1億円の削減効果となり、燃焼に伴う二酸化炭素の排出量も2500トン削減された。容積では学校の体育館120棟分に相当するという。なお、サービス利用料は1シーズン当たり1万8000円程度になった。
同社では3年後の2000件の導入を目指している。「北海道では約75万件の敷地でロードヒーティングが導入されており、灯油使用量は全国平均の3倍。二酸化炭素の排出量は全国の20%を占める。このサービスで環境対策に少しでも貢献したい」(入澤拓也社長)と話した。
MCPCアワードではこのほか、特別賞として3団体、奨励賞として15団体が表彰された。
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