Microsoftの関係者が「EclipseCon 2008」イベントに出席し、同社の新たな取り組みはEclipseコミュニティーとのさらなる関係強化につながると示唆した。
カリフォルニア州サンタクララ発――Microsoftが過去のしがらみを断ち切り、Eclipse Foundationのサポートに動いている。
Microsoftきってのオープンソース支持者であるサム・ラムジ氏は3月19日、現地で開幕したEclipseCon 2008で午前中の基調講演を行い、同社がEclipseの中核的な技術2種をサポートしていくことを明らかにした上で、これから対象を広げていく可能性にも触れた。ラムジ氏は、Microsoftでプラットフォーム技術戦略担当ディレクターを務めている。
オープンソースプロジェクトおよびテクノロジーとの共存を引き続き図りながら、同社はEclipseの「SWT(Standard Widget Kit)」とID管理プロジェクトの「Higgins」をサポートするつもりだと、ラムジ氏は語った。
SWTプレゼンテーション技術は、Microsoftの「WPF(Windows Presentation Foundation)」においてサポートされることになる。SWTはJava用のオープンソースウィジェットツールキットで、同ツールが実装されているオペレーティングシステムのユーザーインタフェース部品に対する、効率的かつ手軽なアクセスを実現するもの。
ID管理技術であるHigginsに関しては、Microsoftは「CardSpace」を実装するうえでこれをサポートする予定だ。
Eclipse FoundationのHiggins専用ウェブページにある定義によれば、Higginsは、「ID、プロフィール、社会関係情報などを、複数のサイトやアプリケーション、デバイスをまたいで統合するためのオープンソースインターネットIDフレームワーク」だという。
WS-Trust、OpenID、SAML、XDI、LDAPといったデジタルIDプロトコルと連係するユーザーエクスペリエンスを支えているのは、プロトコルではなくソフトウェアである。
MicrosoftがEclipseとの協働を公に示したのは、今回が初めてだ。しかしラムジ氏は、Microsoftがラスベガスで先ごろ開催した「MIX 08」カンファレンスにおいて、Eclipseのエグゼクティブディレクターであるマイク・ミリンコビッチ氏とは、もう1年も両組織の協力方法を議論してきたと述べた。
ミリンコビッチ氏はMicrosoftの取り組みについて、Eclipseとより密接な関係を築くには小さな一歩ではあるが、「前向きな動き」だと評価している。
Javaにとりわけ注力しているEclipse Foundationに、Microsoftがいずれ参加する可能性を問われた同氏は、そうした推測が「一切成り立たない」こともないと述べた。
Eclipse Foundationは、すべての会員がEclipseプロジェクトに基づく何らかの技術を提供することを参加条件としている。「Visual Studio」へのプラグインを利用すれば、Microsoftはそうした条件を簡単にクリアできるだろうと、ミリンコビッチ氏は話した。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.