前期の「震えがくる数字」から逃げずに立ち向かうBI特集(2/2 ページ)

» 2008年04月01日 15時30分 公開
[ITmedia]
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アクションプランを策定するテーマは何か

 小山氏はBIツールを活用する目的はあくまで業績を向上させるためのアクションプランを作成するためだと強調する。

 「BIが分析のための分析になっていると、データ活用がうまくいかないのは当たり前です。データを分析するだけでは売上は増えません。分析後に具体的なアクションに結び付けて、はじめてデータを活用したといえます。では、アクションを変えられないのはなぜか。それは、BIは経営企画部門のものだという間違った認識があるからです。アクションを起こすのは現場の社員ですが、現場を離れた経営企画部門がデータ分析して戦略を打ち出しても、現場の社員にはリアリティがない遠い世界の話にしか聞こえないことが多いのです。アクションを変えたいなら、現場の社員自身にもデータを分析させるべきです」

 問題は、各部門間でのコミュニケーションの問題だろう。経営企画部門が必要とするデータ活用はある。しかし小山氏が話すように経営企画部門などが作り上げた分析結果をそのまま現場に下ろしても、確かにリアリティのある戦略とは受け取られないだろう。

 データ活用、分析を各部門がどのような意図を持って行っているのか、そしてそうした作業少しでもよりスムーズにするにはどうすればいいのか。こうしたことは情報部門が積極的にコミットすべきことだ。客観的な立場でどうすれば、経営の上層部と現場がデータ活用によるアクションプランの策定において、有効なコミュニケーションができるようになるか、がテーマになる。

 武蔵野が開催する一般社員のデータ分析のプレゼンテーションについて小山氏は次のように話す。

 「審査員は現場社員自身です。『どんなDMの反応がいいのか』、『商品を切り替えたら粗利益はどう推移するか』など、現場のアクションに直接関わる分析を表彰することが目的なので、聞く方も真剣。良い分析があれば、さっそく現場社員が真似をして自分のものにしています」

 「商品を切り替えたら粗利益はどう推移するか」といったテーマは、はたして現場だけが関心を寄せるものだろうか。こうしたテーマが一般の社員によって分析され、プレゼンテーションされた際、おそらく社長の小山氏も身を乗り出して耳を傾けたことだろう。

 例えば情報部門が比較的客観的な立場で現場と経営のコミュニケーションを円滑にするには、こうしたテーマを見つけ出すということだろう。データ分析をする時の業務フローの交通整理をするだけではなく、具体的なアクションを生み出す、分析のテーマを探り出すことが必要になるはずだ。

プロフィール

1948年、山梨県生まれ。小山氏が率いる株式会社武蔵野は00年日本経営品質賞受賞、05年「IT経営百選」最優秀賞を受賞。ITコーディネータ協会からITコーディネータ・グランドファザーに任命されるなど、IT活用には積極的。『社長! 儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!』(すばる舎)、『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』(ダイヤモンド社)など、著書は多数。


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