日本IBMは、世界中で展開する「グローバルデリバリーセンター」を活用し、日本の顧客に対するサービスの品質向上や、社内の人材育成に注力する。
日本IBMは4月21日、プレスやアナリスト向けにグローバル・ビジネス・サービス事業(GBS)の戦略説明会を開いた。専務執行役員で同事業担当のピーター・カービー氏は、これまでの成果を踏まえ、2008年度はさらに「グローバルデリバリー」というビジネスサービスを推進し、世界中から日本の顧客ニーズに合った最適な人材を投入していくと述べた。
GBSは、ビジネスに特化した形で、コンサルティング、アプリケーションの開発・保守、アウトソーシングなどのサービスを手掛ける。中でも代表的な例が「グローバルデリバリーセンター」である。
IBMは世界30カ国以上に拠点を持つグローバルデリバリーセンターにおいて、アプリケーションやシステムの開発、運用、保守のほか、サプライチェーンマネジメント(SCM)、流通などの分野のサービスを提供している。特に近年では、中国、インド、ベトナムにセンターを相次いで開設するなどアジア地域での成長が著しい。カービー氏は「以前は日本のやり方をアジア地域のセンターに持ち込んでいた。しかし現在では、経験を積んだインド人や中国人が日本でのプロジェクトに入るケースが多い」と説明した。これにより、世界規模で事業展開する顧客へより適切なサービスを提供できるようになるという。
同社のグローバルデリバリーの特徴は、海外の他企業との協業ではなく、自社単独でサービスやプロジェクトを展開できる点で、「セキュリティやプライバシー対策にもつながる」(カービー氏)という。
一方で、日本でもグローバルな人材育成を強化する。グローバルデリバリーとの協業プロジェクトで年間数百人を海外へ派遣し、海外の先進的な取り組みを習得させるほか、人事評価制度や研修なども充実させる。
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