Sun Microsystemsのオープンソース戦略で伸びる「MySQL」

Sun MicrosystemsとMySQLは、MySQL製品の日本語サポートを開始。都内で開催したMySQLのイベントにおいて、Sunの考えるオープンソース戦略が説明された。

» 2008年04月21日 19時01分 公開
[荒浪一城,ITmedia]

 2008年1月16日に、米Sun MicrosystemsがMySQL ABの買収計画を発表し、2月26日に統合を完了したのは記憶に新しい。最新版「MySQL 5.1」のリリースも間近に迫っている中、先日都内で開催された「春のMySQL祭り 2008 - Jumping to the Sun !」では、サンの考えるオープンソース戦略が説明された。

 サン・マイクロシステムズの末次朝彦氏は「オープンスタンダードをどう実装するか、その技術力で競い、オープンソースで技術の進化を早めていく。結果的にユーザーにさまざまな選択肢を提供できる」と同社のオープンソース戦略を述べた。

サン・マイクロシステムズ 末次朝彦氏

 統合によるシナジー効果は早速現れた。「これまで1日5万ダウンロード程度だったものが、6万ダウンロードを越えるようになった」(末次氏)という。ほかのデータベースと比べてコストが掛からないことも、ユーザーに選ばれる要因となっている。「別の商用データベースと比べて約90%のコスト削減が可能だ」(同氏)。

 なお、一部報道で、MySQLに対する今後の新機能追加は有償版である「MySQL Enterprise」のみに適用されるとあり、これがコミュニティーから強い不快感を招いているが、実際には、「一部」の機能やドライバがMySQL Enterpriseにのみに搭載されるという趣旨である。少なくとも無償版の「Community Server」とコードベースでかい離したものになることはないとみてよいだろう。

 そのMySQL Enterpriseは、MySQLデータベース、サーバ自動監視ツール「MySQL Enterprise Monitor」、および製品サポートが含まれる。MySQLサーバ環境を継続的に監視し、問題が現れる前に通知するMySQL Enterprise Monitorは日本語版で提供される。

 価格は、MySQL Enterprise年間サブスクリプション(年間1サーバ当たり)の場合、MySQLデータベースおよびサポート付きベーシッククラスで599ドルから、MySQLデータベース、サポート、MySQL Enterprise Monitor付きシルバークラスで1999ドルからとなる。また、現在はMySQLの販売チャネル経由で販売されているが、5月上旬からはサンの販売チャネルでも販売を開始する予定で、その前後で現在のドル表記から円表記に切り替えることが検討されている。

 日本語による製品サポートは4月9日から実施している。日本語サポートの対応時間は、祝祭日を除く平日の午前9時から午後5時まで。それ以外は英語でのサポートとなる。

 MySQLでセールエンジニアを務める梶山隆輔氏らによると「Sunによる買収で人的リソースが増えた。ツールやナレッジベースの日本語化を積極に進めていく」という。また、UTF-8の4バイト文字(サロゲートペア)対応が実装されたバージョン(MySQL 6.0.4 Community Edition - Alpha Development Release)がリリースされたことで、CESU-8による問題も解決されるという。

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