殿中でござる!――送ったメールは止められない悲しき女子ヘルプデスク物語(3/4 ページ)

» 2008年05月30日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

パスワードを教えてほしい?

 「教えてほしいことがあるんですが」と今度はBさんからの内線だ。

 電話の雰囲気が明るかったので、わたしも「はいはーい、何でしょー?」と明るく返した。この手の仕事は、ノリが重要である(結局、機械だけでなくヒトを相手にする仕事だし)。

Bさん わたしのパスワードって、何でしたっけ?

 …知らないわよ。

 今、何ておっしゃいました? と返したいところだけれど言葉にならない。いや、言葉にしてはいけない…落ち着け、わたし。

 もしかして、いや、もしかしなくても分かる。これはいわゆる「パスワード忘れ」ね。しかもこの人は、それを教えてほしいわけだ。実はこういった問い合わせ、少なくないんですよね。でもねBさん、管理者でさえ、他人のパスワードは分からないのよ…。仕方なく、Bさんのパスワードを再設定しそれを伝えた上で、いら立ちを隠すために「パスワード、早めに変えてくださいねー」とあえてフレンドリーにふるまった。

 そもそもわが社では、Windowsログオン時のパスワードを3カ月に1度は変更しなければならないシステムになっている。パスワードの期限切れが近づいてくると「変更しろー」という趣旨のメッセージが表示されるようになっているし、期限が過ぎれば強制的に変更させられる。しかも過去に設定したパスワードは再利用できない、という徹底ぶりだ。セキュリティ確保のためには大切なんだけど、きっと“げんなり”している人も多いはず。…かくいうわたしですら“げんなり組”の1人なのだから。

 パスワードは、他人には想像がつかず、かつ自分が忘れないようなものを設定できればベストである。しかし苦労して考え、設定したパスワードは、いとも簡単に、そしてうっかり・すっかり・しっかり、忘れてしまうものなのだ。

 「パスワードの入力ミス」であれば、入力しなおせばコトは済む(ただし、ミスの回数に制限がなければ、だが)。しかし、パスワードを忘れてしまった場合はそうはいかない。元に戻してほしい、教えてほしい、などと言われても、どうにもならない。個人のパスワードはいくらシステム管理者といえども分からないんだし。ユーザーにしてみればパソコンに設定してあることだからシステム管理者が知っていて当然なんだろうけど。パスワードの管理についてのコツはコチラに書いてありますから。

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