あらゆるユーザーに寄り添う機能――『Cognos 8』が活躍する利用シーンBI特集(1/2 ページ)

いわゆる社内情報の利用の仕方は、責任範囲によってそれぞれ違ってくる。経営層から現場ユーザーまで、それぞれが利用したい機能を把握することが導入のポイントとなりそうだ。

» 2008年06月11日 10時08分 公開
[村上敬,ITmedia]

それは本当に役立つ機能なのか?

 前回はIBMがコグノスを統合した経緯について解説した。IBMのBIソリューションは、ミドルウェアを中心に、必要な時に必要な形で必要な情報を活用する「インフォメーション・オンデマンド( 以下、IOD )」を実現するが、今回、新たにラインアップに加わるコグノス製品は、IOD に求められる即応性やリアルタイム性をどのように実現しているのだろうか。

 コグノスの主力製品である「Cognos 8 BI」は、DB構築ウェアハウスにもアクセスして、さらにバンドルされているEII(Enterprise Information Integration)ツールを使えば、SAPやSalesforceといった他システムのDBにデータを直接見に行くことができる。その意味では、よりリアルタイムに近い形でデータを取ってくる機能は有しているが、ミドルウェアに近い部分は、そもそもIBMの得意分野でもある。今回の統合で求められているのは、コグノスもとくに力を入れてきたユーザーに近い部分だ。

「ユーザーの持つ課題や目的を把握することが大切」と語るコグノス マーケティング本部 高澤正道氏

 そこで注目したいのが、リアルタイム・オペレーショナル・ダッシュボードだ。コグノスのマーケティング本部 シニア・プロダクト・マネージャーの高澤正道氏はこう解説する。

 「海外では『Cognos Now』という製品を展開していますが、これはもともと去年1月に買収したセレクエスト社の製品で、限りなくリアルタイムに近い形でデータをダッシュボードに表示することが可能です。例えば在庫の数字やコールセンターに入ってくるコール件数も、5秒置きに更新できます。いままでは日本語化やアプライアンスの問題があって海外のみの展開でしたが、今回のIBMとの統合をきっかけに、日本でも展開できる状況になったと考えています」

 従来のBIでは、リアルタイムに近いといっても、せいぜい半日前から1日前のデータが最新だ。それを考えると画期的な製品といえるが、実際にユーザーはBIにどこまでリアルタイム性を求めているのだろうか。高澤氏は、最近の傾向を次のように語る。

 「平均すれば欧米のほうがリアルタイムに対する要求は強いかもしれませんが、日本でもニーズは高まってきています。最近の傾向としては、経営者向けのダッシュボードだけでなく、現場は現場向けにダッシュボードを用意したいと声が多いですね。現場の方も、アラートが鳴ってから対応策を考えるというスピード感ではなく、ウォッチしている数字が閾値に達したらすぐにアクションに移るというレベルまで意識は高まっています」

 これまでBIといえば経営層や一部のパワーユーザーのものという印象が強かったが、必要な情報を必要なときに迅速に活用したいという要求は、現場レベルまで着実に広がっているといえる。ただ、リアルタイムに見せることを含めて、単に機能を追加していくだけでは、ユーザーのニーズの広がりに応えているとは言い難い。むしろユーザー側から聞こえてくるのは、「あれもこれも盛りだくさんでわかりにくい」という声だ。

 これに対して高澤氏は次のように話す。「今年1月に『Cognos 8』の新しいバージョンを発表したのですが、そのときのテーマの1つは、より広範囲のユーザーに対する的確な情報提供。そこで、発表では単なる新機能の紹介はやめて、ユーザーの持つ課題や目的に応じて情報を見る手段も変えて見せていこうとしました。そもそも経営層と現場では見たい情報の種類や見る手段も違うし、現場とひとくちにいっても、部門のマネジャーと、より現場に近いユーザーでも違いがあります。その違いに対応するには、ユーザーの役割や責任範囲に合わせて、さらには利用シーンに応じた使い方のイメージを持ってもらうよう工夫していかなくてはいけません」

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