子どものために会社を休む父親が増加、企業も下支え父親が子育てをしやすい企業は日立

男性の育児休暇取得率が昨年よりも増えていることがファザーリング・ジャパンの調査で明らかになった。子どもを育てるのは女性で、男性は家計を支えるために働く――といった働き方は過去の話になりつつあるようだ

» 2008年06月12日 20時19分 公開
[ITmedia]

 男性の育児休暇取得が増え、企業もそれを支えるために制度の充実を図っている。子どもを育てるのは女性で、男性は家計を支えるために働く――といった考え方は過去のものになりつつあるようだ。

 NPO法人のファザーリング・ジャパンと第一生命研究所は、「父親が子育てしやすい会社アンケート」の調査結果を発表した。企業の就労環境や子育て支援の状況を把握し、制度の拡充が進んでいる企業を公表することで、さらなる取り組みを促すことを狙いとしている。

 男性の育児休暇取得の状況について、取得がないと答えた企業は2007年が71%だったが、2008年は49%になった。配偶者出産休暇の日数は2007年が2.7日だったのに対し、2008年は3.3日に増えた。子育て環境の充実とともに男性社員の積極的な制度取得が目立った。

 男性社員が子育てをしやすい会社にすることの効果については、「優秀な人材の確保」(73%)、「士気向上」(67%)、「ブランドイメージ」(64%)が上位を占めた。

 回答した企業の就労環境や制度について、有給休暇は平均で22日付与されており、その内11日を消化していることが明らかになった。フレックスタイムやノー残業デーを実施している企業はそれぞれ61%に上った。企業が育児以外の制度の充実にも力を入れていることが見て取れる。

父親が子育てしやすい企業は日立が2冠

 男性の育児休暇が増える中、企業は具体的にどのような取り組みを進めているのか。

 父親が子育てをしやすい会社は日立製作所が2年連続トップとなった。2007年度における男性の配偶者出産休暇の取得数は約160人で、前年より50%増えた。小学校1年終了までの通算3年間を育児休職期間にしたり、在宅勤務の利用期間を子どもが小学校を卒業するまでに延長したりしたことなどが奏功した。制度の理解を促すため、社内ホームページを開いたり、組合が主催となってフォーラムを開催したりするといった地道な活動を続けていることも評価を得た。

 2位の松下電機産業は、配偶者の出産や家族の看護、学校行事への参加などに対し、年間5日まで休暇が取れる制度を実施している。2007年度は約3700名の男性が取得したという。短時間、半日、隔日勤務なども認め、男性の休暇取得に幅を持たせたことで、前年度のランク外から順位を上げた。

 3位となったNTTデータでは、全従業員を対象にした在宅勤務の制度を社員主導で作ったことなど、多様な働き方を認めている点が評価された。育児休暇を取った男性社員による座談会や講演会も行われているという。

 調査は従業員数301人以上の全上場企業に郵送アンケートを実施。労働時間や休業制度など4分野40項目を調査し、得点を付けた。回答者は人事部長またはそれに準じる役職。調査は2008年4月〜5月に行い、67社の回答を集めた。

順位 会社名
1 日立製作所
2 松下電器産業
3 NTTデータ
4 旭化成
5 ニフティ
6 マブチモーター
7 安川電機
8 沖電気工業
9 日産自動車
10 豊田通商
父親が子育てしやすい会社トップ10(出典:ファザーリング・ジャパン)

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