コラム
» 2008年07月09日 11時37分 公開

サバイバル方程式:CIOがただの部長では、夢も希望も改革も生まれない (2/2)

[増岡直二郎,ITmedia]
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専任CIOの少なさ

 経済産業省の「情報処理実態調査」(調査対象:全国コンピュータ利用企業の民間事業者から無作為抽出9500社、調査対象期日:毎年3月31日)結果によると、CIOを設置している企業の割合は2003年36.1%(専任者4.3%、兼任者31.8%)、2004年36.9%(専任者3.9%、兼任者33.0%)、2005年40.5%(専任者8.0%、兼任者32.5%)と徐々に増加傾向にあるものの、CIO設置企業は50%を切り、専任者設置企業においては10%に満たない。

 そしてCIO設置企業を規模別に見たとき、すべての規模でCIO設置割合は上昇傾向にあるが、特に大企業やIT投資規模の大きな企業を中心に設置が進んでいるという調査結果が出ている。企業規模が小さくなるほど、設置割合は下がる。

 一方で、CIO設置企業の割合が50%を切り、専任CIO設置企業の割合が10%に満たない状況の中で、彼らCIOがその役割を充分に果たしているのだろうかという疑問もある。

 それを把握するための調査結果も、同じ調査に出ている。CIOが取締役である場合が68.8%で、単なる部長である場合が21.0%(情報システム部門長が兼務している場合は22.8%)である。単なる部長職で、CIOの任務を全うすることができるはずがない。IT担当のスタッフにしてみれば、IT部門の地位の低さを意識させられるだけではないだろうか。しかもCIOが取締役の場合、他の業務担当役員が兼務する割合は64.6%にもなる。しかも兼任CIOの場合は、何処までCIOの役割をこなしているか問題である。

 さらに、CIOの業務管掌範囲が規定されている企業は46.4%と、半数以下である。ITに関する専門的知識・経験を持つCIOは、38.6%にとどまる。

 CIOが、企業の中でまだまだ充分に認知されていないことが判る。

CIOを設置するメリット

 では、CIOを設置することが企業にとってプラスになるのか。

「情報処理実態調査」は、CIOの設置状況別に情報システム活用による意思決定迅速化の状況も調べている(2006.3.31調査)。

  • 部門内の迅速な意思決定の実現は、CIOがいる場合が85.6%、いない場合が67.6%
  • 全社レベルの迅速な意思決定の実現は、CIOがいる場合が78.8%、いない場合が57.2%
  • 企業間の迅速な課題解決の実現は、CIOがいる場合が37.2%、いない場合が20.8%

 つまりCIOを設置している企業の方が設置していない企業より意思決定迅速化が実現できているのだ。また、専任CIO設置企業の方が、兼任CIO設置企業よりも意思決定迅速化ができているという結果も出ている。さらに、CIOの業務管掌範囲を明確に定めている企業やCIOがITに関する専門的な知識・経験を有する企業の方が、それ以外の企業より、意思決定迅速化の実現が充分できていると回答した割合が高い。

 「情報処理実態調査」の調査結果は、筆者が実務やコンサルティングを通じて経験してきた印象と大勢として大きく違わない。世の経営者は、この調査結果や「IT新改革戦略」の指針を踏まえて、CIOの重要性を認識すべきである。ただ、「IT新改革戦略」では「・・・“専任”CIOの設置を促進する」と、“専任”として欲しかったものである。

 しかし、ここで誤解が生じやすいので注意を要することがある。CIOを設置することが、特に専任CIOを設置することが、あらゆる場合に迅速な経営課題解決の実現に寄与することができるとは断言できないということである。

 なぜなら、CIO自身の質や能力の問題、CEOのCIOに対する対応の仕方や処遇の問題などが絡んでくるからである。従って、一般論化された調査結果や机上の理論をそのまま肯定することができない面がでてくる。実態を把握した上での「CIOあるべき論」が必要になる。それについて、今後議論を進めたい。

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プロフィール

ますおか・なおじろう 日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを歴任。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。現在は「nao IT研究所」代表として、執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)


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