クラウドコンピューティングは、既にコンシューマーの分野においては、かなり利用されているが、企業においては、J-SOXや内部統制、そしてCSR(企業の社会的責任)など、企業内のセキュリティ対策やコンプライアンスの規制が強まり、インターネット上の雲(Cloud)に自社の重要情報をアウトソースすることは、なかなか難しい状況であることが考えられる。
NGNは、これまで触れてきたように、インターネットとは違った高セキュリティ、高品質、帯域制御(QOS)の機能をもっている。インタフェース環境もオープンだ。つまり、NGNのプラットフォーム上のアプリケーションがマルチテナントにより充実し、オンデマンドで企業がいつでもどこでも好きなときにアプリケーションを安全に利用できるようになる。そうすれば、企業向けのクラウドコンピューティングは十分実現し、成熟の方向に向かうのではないか。
米Gartnerが6月に発表したスペシャルリポート「Cloud Computing」によると、クラウドコンピューティングの成熟には3年の期間を要すとしている。日本の動きは米国よりもやや遅くなると思われるが、NGNの普及時期と重なるところが興味深いところだ。
4回にわたって、中小企業におけるNGNの活用をベースに、SaaSなどのプラットフォーム利用、行政サービスや企業間連携、ビジネスモデルの創造、そしてワークスタイルの変革やクラウドコンピューティングの実現などを整理してきた。中小企業にとっては、NGNは親和性が高く、アプリケーションとネットワークが融合した中小企業向けのサービスの1つになると考えられる。
ICTコンサルタント 中央省庁へのICTコンサルティング、情報通信政策や技術の調査・分析、プロトタイプ開発等に従事。部内のプロジェクト管理やナレッジマネジメント推進等の総括も兼務している。
SAP改革をトップに説き伏せる方法
アメニティーズは長野県を中心に17店舗のパチンコ店を展開する。競合他社もあり楽観できない経営環境だった。遊技台はデジタル化が進む中で、個別の遊戯台に掛かるコストを低減し、利益を増やし、遊技台の「労働生産性」を高める工夫が必要だ。バラバラだった同社のITをSAPで最適化する取り組みを開始した。
至れり尽くせりのシステムを捨てた――TOMOEGAWAの勝算
TOMOEGAWAは日本における産業用特殊紙のパイオニア。最近では半導体関連製品など先端分野の材料も開発する。同社はSAP ERPにより、ビジネススピードを飛躍的に向上させたという。「至れり尽くせり」で「つぎはぎだらけ」だったシステムをどのように刷新したのか。
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