次世代PHSの利活用、ライブカメラ網の可能性から探るウィルコムらが説明

無線プロ―ドバンドインフラの活用を検討する「BWAユビキタスネットワーク研究会」は、オープン性の高いカメラ網実現の可能性から探るとしている。

» 2008年07月28日 18時32分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ウィルコムは7月28日、このほど設立した「BWAユビキタスネットワーク研究会」の活動に関する記者説明会を都内で開催した。当初は、オープンな利用環境を想定したカメラネットワークの可能性について検討を始める。

 同研究会は、数十から数百Mbpsのデータ通信を実現する次世代無線ブロードバンド網を活用したビジネスモデルの可能性を検討する組織。ウィルコムや京セラ、シャープ、NTTコミュニケーションズ、日本無線などが参加し、座長は京都大学学術情報メディアセンターの美濃導彦センター長が務める。

喜久川氏

 設立の狙いについて、ウィルコムの喜久川政樹社長は「データ通信やインターネットへのアクセス回線利用に加えて、社会貢献につながるようなオープン性の高い新たな利用形態を創造したい」と話した。

 研究会では当初、全国約16万カ所に設置されているPHS基地局と大容量データ通信能力を活用したカメラやセンサのネットワーク実現を検討課題に挙げ、技術面や社会的影響、サービス運用のあり方などのついて広範に議論していくという。

カメラ・センサネットワークのイメージ

 ウィルコムは2009年から段階的に次世代PHSサービス「WILLCOM CORE」を開始する予定。喜久川氏によれば、基地局のWILLCOM COREへの対応と同時に基地局にライブカメラシステムなどを併設することで、大規模なコストを投じることなく短期間にカメラネット・センサワークを構築できる。これにより、交通情報や気象情報の収集、防犯対策といった利活用の広がりが期待されるという。

 美濃氏は、次世代無線ブロードバンドを利用したカメラ・センサネットワークの方向性について、インターネットようなオープン性のある利用ができるものを目指すとしている。「Webの世界ではテキストからマルチメディアに主体が移り、映像の利活用が進んでいる。新しい無線ブロードバンドインフラの登場が映像メディアのさらなる利用につながるだろう」(同氏)

検討会で議論する分野

 一方、カメラ映像の活用は撮影されている人物のプライバシーや肖像権、個人情報、ービス利用者のモラル、法制度といった社会的な影響、さらにはデータ保護やユーザー認証などのセキュリティ対策など「懸念点が山積みだ」と美濃氏は説明した。

 同会では今後、一般企業や自治体などからも参加を求めるとともに、バックボーン回線の運用方法などインフラ面を含めた検討を進め、最終的に事業化に向けたコンソーシアム設立なども視野に入れる。ウィルコムでは2009年秋にWILLCOM COREサービスの全国展開を計画していおり、「このタイミングで実証実験など何らかの形にしたい」(喜久川氏)としている。

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