Amazon Web Servicesの「EC2」と「S3」サービスを使って顧客のアプリケーションをホストしているMorph Labsでは、自社のPaaS製品にさらに多くの顧客を引き付けるためにApple iPhone開発者にアプローチしている。
Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、これまでに6000万本以上のアプリケーションが同社のiPhone App StoreからダウンロードされたとWall Street Journalに語った。こういったiPhone人気を受け、ソフトウェアメーカーのMorph Labsは、iPhone開発者向けのアプリケーションサポートプログラムを立ち上げた。
Morph Labsは、プログラマーが作成したアプリケーションを自社のインフラ上でホストするPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)ソフトウェアプロバイダーの1社である。
サーバやストレージアレイを購入する資金がない、あるいは立ち上げたアプリケーションのメンテナンスを担当するITスタッフがいないという開発者や企業のためにソフトウェアをホストするサービスを提供しているITベンダーとしては、Morphのほかにも、Coghead、Amazon.com(Amazon Web Services)、Google、Salesforce.com、Elastra、Etelos、Bungee Labsなどがある。
このクラウドコンピューティングパラダイムは、プログラマーがアプリケーションを作成し、それを自分の好きなプラットフォームにアップロードすると、サービスプロバイダーが配備とメンテナンスを行うというもの。これは、新たなビジネスチャンスを開拓するのにWebが利用される例の1つだといえる。
Morph Labsのデビッド・アブラモウスキーCEOによると、iPhone用Webアプリケーション開発者を対象とした新プログラムでは、開発者はRuby on Rails、Java、Grailsをベースとしたアプリケーションを作成し、それを「Morph AppSpace」サービスに配備することができるという。Morph AppSpaceは、Webアプリケーションを運用するための管理型環境である。PHPも近くサポートされる予定だ。
プログラマーがMorphのデータセンターのルーティング設備にアプリケーションをアップロードすると、Amazon Web Servicesの「EC2」(Elastic Compute Cloud)および「S3」(Simple Storage Service)によってホストされたインターネットクラウドにアプリケーションが配備される。
アブラモウスキー氏は、このサービスの基本的な仕組みについて、「Morph Application Platformはサーバを“逆仮想化”し、プラットフォームの上ではなく、その下にサーバを集約する」と説明している。
このコンピューティング環境は「コンピューティングキューブ」にバンドルされており、Morphはキューブを運用するのに1日に付き1ドル課金する。Morphのエントリーレベルのサービスは2キューブシステムとなっている。キューブはクラウド内に幾つでも増やすことができるので、アプリケーションの拡張に対応できる。
Morphのシステム管理者は帯域幅を管理し、24時間体制でモニタリングとデータベースのバックアップを行う。Amazonで特定のコンピューティングキューブに障害が起きた場合には、Morphは顧客にそのキューブを迂回させることにより、オンライン状態を維持することができる。
MorphがAppleのiPhoneアプリケーションのプログラマーにアプローチしようというのは、顧客ベースの拡大を目指す創業1年の同社にとって賢明な方針だ。Appleは1カ月前の7月11日、iPhoneとiPod touch用に550本のアプリケーションを用意したApp Storeを立ち上げた。
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