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サーバ仮想化が絶好調なワケ――メリットは何か(前編)サーバ仮想化トレンド(2/2 ページ)

» 2008年09月03日 09時53分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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サーバ仮想化の3つの目的とメリット

 「現在のサーバ仮想化の目的は『サーバ統合』『システムの延命』『開発・テスト環境』の3つに集約できる」と語るのはIDCジャパンのソフトウェアリサーチアナリストである入谷光浩氏だ。入谷氏は、7月29日に開催された「NEC×VMware仮想化ソリューションフェア」で講演し、国内における仮想化技術の最新動向について明らかにした。

IDC 「日本は欧米市場から遅れはしたものの、今後実稼働環境でも仮想化が積極的に導入されていく」と語るIDCジャパンの入谷光浩氏

 サーバの統合とは、管理サーバ数を集約することでTCO削減やサーバリソースの効率化というメリットが図れること。また、サポートが終了した旧OS(Windows NTや2000など)で動いているアプリケーションを最新のハードウェアで運用が可能になる、システムの延命という意味でも仮想化が利用できる。そして、仮想化技術を使うことで1台のサーバで複数の開発・テスト環境を用意できるので、別に専用のサーバを設ける必要がなく、実稼働しているサーバで開発・テストも可能になるという。

国内サーバ仮想化市場は2012年に350億円規模へ

 IDCジャパンでは、国内の仮想化ソフトウェア市場を予測。その中で、仮想化市場は導入期を経て、今後普及期に入ると見ている。導入期末期といわれた2007年がおよそ70億円規模だった市場が、今後普及期に入ることで、2012年までには350億円にまで急速に拡大するという。特に、x86サーバ用仮想化技術の熟成に加え、Windows Server 2008が仮想化技術を標準に組み込むことで、ユーザー企業が仮想化技術をより利用しやすくなると分析している。

 また、2000社以上の企業を対象にした調査でも、2007年度〜2008年度の予算で導入を検討するソリューションの筆頭がサーバの仮想化であり、2008年度以降には投資が急増する傾向が見受けられると入谷氏はいう。

 「日本は欧米市場から遅れはしたものの、今後実稼働環境でも仮想化が積極的に導入されていく。ソリューションプロバイダーにも構築ノウハウが蓄積していくことで、ITのマーケットの中では他に類を見ないスピードで成長するだろう」(入谷氏)

サーバ仮想化技術導入企業は6割超

 また、IDCジャパンでは2008年の2月に、サーバの仮想化を導入した企業と、今後導入予定の企業を対象にしたアンケート調査を実施した。入谷氏の説明によると、サーバ仮想化技術について、既に導入している企業が63%となっており、中でも、仮想化ソフトウェアの採用が2004年頃から急上昇している。また、今後仮想化技術を導入する予定の企業も78%に達した。

仮想化 サーバ仮想化技術を6割以上が導入済み、7割以上が導入を予定

 仮想サーバ上で稼働するアプリケーションでは、事務系/業務系、DBが多く、OS別導入率ではWindows Server 2003が圧倒的だが、Windows 2000 Server、Windows NTの延命目的も依然として存在する。

 導入の目的では、「運用管理の効率化」、「サーバリソースの有効活用」が2大理由、メリットとなり、乱立するサーバの管理に悩む姿が浮き彫りになった。以下、「ハードウェアコストの削減」、「保守コストの削減」、「ユーザーサービスの向上」と続く。その目的に対して、「期待を上回る」「期待していたより良い」「おおむね期待通り」とする回答が合計で91.5%となり、仮想化の効果も高く評価されているようだ。

仮想化 導入後満足度が高いサーバ仮想化技術

心配したほど問題は起こらなかった

 一方、サーバ仮想化の課題と問題について、導入前には「可用性、信頼性の確保」「性能が期待通りに出ない」「アプリケーションの互換性確保」「投資に見合ったコスト削減効果が得られない」など、信頼性やパフォーマンス、投資対効果などが想定課題として挙げられていた。しかし、導入後は、「想定していた課題が問題にはならなかった」とする回答が最も多い結果となり、導入前の不安に比べて導入後の満足度の高さがここにも表れた。

 サーバ仮想化のプラットフォームを選定する基準について、入谷氏は、「ユーザーは信頼性やパフォーマンスを重視し、導入効果のアセスメントや、同様なアプリケーションを運用する他社の事例についても関心が高く、それが導入の決め手になるようだ」と解説する。

 後編では、仮想化技術が企業のITにどのようなインパクトをもたらすのかについて述べる。

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