Googleの次の10年間を展望する2018年のIT業界(1/2 ページ)

Chromeのリリース、そして今後予想されるChromeとAndroidの結合により、Googleは検索エンジンのリーダーという地位からさらに飛躍し、2018年までにはWebアプリケーションプロバイダーとしてもトップの座を確保するだろう。

» 2008年09月09日 14時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 9月7日に創業10周年を迎えたGoogleは、この10年間に何を達成したのか、そしてMicrosoftの最初の10年間と比べてどうなのかなど話題に事欠くことがない。

 検索エンジン分野のリーダー、そしてWeb上での検索連動広告で最も成功した企業であるGoogleは、年間約165億ドルの売り上げを稼ぎ出している。同社の株価は450ドル、時価総額は1420億ドルに達する。

 確かに立派な数字だ。しかしeWEEKにとってもっと関心があるのは、Googleが次の10年間に何をするかということだ。では、今後の展開を予想してみよう。

Chrome戦争

 もちろん最初に取り上げなければならないのは、リリース初日にしてブラウザ市場で1%のシェアを取ったGoogleのWebブラウザ「Chrome」だ。

 今後、IEよりもChromeを選ぶ人がどんどん増えてきたらどうなるのだろうか。この質問に対する簡単な答えは存在しない。メディアやブロガーたちは、ChromeがWindowsを打ち壊すと言いたいようだが、現実にはマシン上でWindowsかLinuxを起動しないと同ブラウザを利用することができないのだ。

 わたしの予想では、ワープロや表計算、プレゼンテーションでMicrosoft Officeを使う代わりに、Windows/Linux/Macマシン上でまずChromeを立ち上げ、そこからGmailやDocsなどのGoogle Appsを利用するユーザーが増えてくるだろう。

 これはコンシューマー分野で起きると予想されるが、企業向けの新しいアプリケーション(Google Videoなど)の登場や、Googleのクラウドインフラの信頼性の向上に伴い、企業もWeb上のアプリケーションに依存するようになるだろう。

 既にこの状況は中小企業で始まっており、中堅・大手企業も10年以内にGoogleを採用し始めるものと予想される。Chromeが新しいIEに、そしてGoogle Appsが新しいOfficeになるのに従い、Internet Explorerは見向きもされなくなるだろう。

 Microsoftはどうなるのだろうか。同社はLive Meshで反撃することによってWindowsに活を入れ、モバイル分野にも注力するだろうが、Microsoft Watchのジョー・ウィルコックス氏が指摘するように、この分野でソフトウェア分野の巨人は大きく後れを取っている。

Androidに組み込まれるChrome

 Chromeはヒットとなったが、Googleの共同創業者のサーゲイ・ブリン氏によると、ChromeはAndroidにも組み込まれる予定だという。

 ChromeとAndroidは、同じレンダリングエンジン「WebKit」を採用している。Googleが高速なJavaScript仮想マシンをChromeからAndroidに移植すれば、Webアプリケーションへのアクセスが劇的に高速化されるものと期待される。

 Googleは今後数年で、ChromeのデスクトップエクスペリエンスをAndroid携帯電話でも実現し、高品質のユーザーエクスペリエンスと携帯端末市場のシェアをめぐってAppleのiPhoneに挑戦することになるだろう。モバイルWeb市場の覇権をめぐり、GoogleとAppleの一騎打ちが始まるのである。

 Nokiaをはじめとする携帯電話メーカー各社は今後も携帯電話の生産を続けるだろうが、彼らのソフトウェアはChromeやGoogleのWebアプリケーションに取って代わられるだろう。

 Microsoft Windows Mobileの市場シェアは低下し始める。ユーザーはAndroid携帯電話でも、Chrome、Googleの検索技術およびGoogle Appsを利用するようになるだろう。

 デスクトップを対象としたGoogleの検索広告ビジネスをめぐる議論は依然として活発だが、ChromeとAndroidによってGoogleのモバイル広告ビジネスが拡大するに伴い、同社は一芸しかない企業とは思われなくなるだろう。

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