読者もご存じだと思うが、住民税や県民税は自治体ごとで異なる。同じ計算式ではない。住民から聞かれたことを、ベンダーに問い合わせてから回答していたのでは、時間がかかり過ぎだし、非効率だ。やはり、システム上の業務知識を次世代へと受け継がせなくてならない。
前回書いたように、汎用機上のシステムは設計書があいまいだし、スパゲッティー状態で、どれが使われていて、どれが不要かも分からない。この状態を正すには、現状分析の実施が欠かせない。さらに、次世代に引き継ぐためには、新たに作成するシステムでは詳細な設計書に基づいた開発とし、開発途中の変更も設計書に残すようにしていかなくてはならない。しかし、正しいが極めて困難な仕事であるため、職員に安易なスケジュールを提示すれば「そんなことは不可能だ」と逃げられる。安心して携われる期間が必要である。だから、8年とした。
後は、8年が妥当な期間として納得できるかどうかである。まず8年の意味として以下の2つを理解してもらうことから始めた。
現状分析・設計書作成等に時間はかかるが、オープンソースを用いることで、開発経費の負担を押さえ、かつ開発完了後の経費を最小にすることを理解してもらった。さらに、次の2つを考えてもらった。
時間はかかるが、コストを掛けずに地域の人材育成ができることを理解してもらった。以上で8年の期間は妥当と決した。
しまむら・ひでよ 1963年3月生まれ。長崎県総務部理事(情報政策担当)。大手建設会社、民間シンクタンクSE職を経て2001年より現職。県CIOとして「県庁IT調達コストの低減」「地元SI企業の活性化」「県職員のITスキル向上」を知事から命じられ、日々奮闘中。オープンソースを活用した電子決裁システムなどを開発。これを無償公開し、他県からの引き合いも増えている。「やって見せて、納得させる」をマネジメントの基本と考える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.