ウォール街の「壮大な」リスクマネジメント崩壊IT企業にさまざまな影響(2/3 ページ)

» 2008年10月03日 14時43分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

経済的な「心臓発作」か?

 ウォール街のメルトダウンは、今後のIT産業――-そしてそのほかのすべての産業――-の長期低迷の始まりにすぎないのかもしれない。

 「われわれは心臓発作の兆候を見た。だが、それは単なる警告にすぎない」と語るのは、Mesabi GroupのITアナリスト、デビッド・ヒル氏だ。「まだ本格的な心筋梗塞には至っていない。もしそうなったときは、たとえワシントンでいかなる救済策を講じようとも、われわれは不可逆的なダメージを受けるだろう」

 銀行預入資金――-それがいまのゲームの名前だ、とヒル氏。「現金準備に余裕のある大企業であれば、給与支払いも滞ることはないだろうし、水面に顔を出しておくために信用やキャッシュフローに依存することもない。しかし、資金力のない中小企業の場合、今回の金融危機は直接的な打撃となる」

 IT産業に関する重要な事実の1つは、金融機関が常にIT製品やITサービスに、そしてIT企業そのものに積極的に投資を行ってきたことだ、とヒル氏は指摘する。

 「今回の危機は、そうしたIT企業に非常に難しい問題をもたらした。たとえ将来有望なITベンチャーでも、短期的な融資を受けることはしばらく困難になるだろう」(ヒル氏)

コンシューマーIT企業に最大の打撃

 IT企業の中には、今回の問題に早くから気付いていたところもあった。

 「脱線の予兆は以前からあったため、金融サービスやバンキング産業に深くかかわっていたIT企業には早い段階から影響が出ていた」と語るのは、Pund-ITの主任アナリスト、チャールズ・キング氏だ。

 「伝統的に金融機関に多くの顧客を抱えるSun(Microsystems)は、先の四半期だけでなく、今年初めから四半期リポートで金融セクタに危険な兆候が見られると指摘していた」とキング氏。

 金融不安が続く中、ほとんどのIT企業が心配することは、この影響がほかの産業へ波及することだ。というのも、IT企業の顧客は今やあらゆる産業に及んでいるからである。

 「信用縮小はITビジネス全般に悪影響を与えているが、一般的な見方としては、とくにコンシューマー市場に大きく投資している企業が打撃を受けている」とキング氏。「おそらく(コンシューマー市場で成功した)Appleが代表的な存在だろう。きっと人々は、この先こう言うはずだ。『新しい16GBのiPodは欲しいけど、いま持っている4GBでも十分だな』」

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