日本SGIが独SFEと販売提携、CAEのフロントローディング狙う

世界各国の主要自動車メーカーに導入実績を持つVPDソフトウェア「SFE CONCEPT」を開発する独SFEと日本SGIが販売提携を発表。製造業に向けてSFE CONCEPTの国内販売を開始する。

» 2008年10月21日 02時36分 公開
[ITmedia]

 日本SGIは10月20日、ドイツのCAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアベンダーであるSFEと日本市場における販売代理店契約を締結、「SFE CONCEPT」と呼ばれる構造解析ソフトウェアを販売する。SFEは主に自動車の構造解析にかんするコンサルティングと関連するソフトウェアの開発、販売、サポートを行う企業。

 自動車業界をはじめ、鉄道、航空、造船などの製造業分野全般では、CAD(Computer Aided Design)/CAEを活用したVPD(Virtual Product Development:シミュレーションによる製品開発)が広く普及している。

 自動車や航空機のように製造する製品が巨大になるほど、企画されてから実際に製品として世に出てくるまでは長期化する。当然、膨大な資金と人員を投入するわけで失敗は許されないため、製造業において基本設計が担う責任はとりわけ大きい。

 VPDの普及により、従来なら試作機を作り、それを性能実験、の繰り返しだった過程をデータとして処理可能になったことで、試作品のない基本設計段階でも機能評価が可能となった。

 ここで、CADとCAEのプロセスをよくみると、CADで詳細設計を行った後にモデル化し、CAEでメッシュデータを生成、解析計算し、結果評価を行う。そして、評価を基に、またCADで設計変更を加えるという作業をくり返す。つまり、モデル変更が加わる度に再モデル化の工数が発生することになる。ITにより品質検討業務が前倒しできたとはいえ、さらなるフロントローディングを図るには、CADとCAEの間で発生する再モデル化の工数を削減することが求められる。それを行おうとするのがSFE CONCEPTだ。

 SFE CONCEPTは、パラメトリックモデラと自動メッシングの機能を特長とする解析ソフトウェアでいわばアップフロントCAEとして機能する。パラメトリックモデラは、距離や接続条件、パラメータで表現できるように形状を一般化するフィーチャなどの手順を履歴として保存しながらモデリングを行う設計手法。作成したモデルの要求性能の検討を行うためにパラメータを変更すると、形状が再定義されたモデルが自動メッシングされる。また、作成モデルのモジュール化(ライブラリ)と再利用機能も用意されており、いわゆる車輪の再開発を防ぐこともできる。

 今回の販売提携により、SFEは同社製品にかんする技術支援とコンサルテーションも提供していく。そうした支援を受けながら、日本SGIとしては製造業向けのビジネスを強化していく意向だ。

 価格は475万円(年間利用ライセンスおよび製品メンテナンス費用を含む)。

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