T-Mobile「G1」のエンタープライズモビリティは雲の彼方クラウド内の情報制御に問題(1/2 ページ)

T-Mobileの「G1」スマートフォンが鳴り物入りでリリースされた。GoogleのモバイルOSであるAndroidがついにデビューしたのだ。しかし企業がG1のような携帯端末を検討する際には注意が必要だという声もある。Webサービスのデータがクラウド内に置かれているからだ。

» 2008年10月23日 17時38分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 10月22日、T-Mobileの「G1」がついに発売された。これは、GoogleのオープンソースモバイルOSスタック、Androidを搭載した最初のスマートフォンである。携帯電話キャリアであるT-Mobileの販売店は午前8時にオープンし、Webサービスを求める顧客への販売を開始した。G1ユニットは150万台用意されたと報じられている。

 しかし、企業ユーザーが先を争ってG1を大量注文するという状況が見られることはなさそうだ。T-Mobileも9月23日の発表会において、G1は家庭ユーザーをターゲットにしていることを隠さなかった。

 この予想については誰も異論がないだろう。既に、G1がMicrosoft Exchange Serverをサポートしないこともはっきりしている。Exchange Serverのサポートは、企業のモビリティを実現する上で必須要件だといわれている。Googleがこの要求に対応することは期待できない。Androidの開発者であるアンディ・ルービン氏は、それはサードパーティープログラマーの仕事だと述べている。

 Enterprise Mobileのモート・ローゼンタールCEOによると、G1がエンタープライズモビリティの資格試験に合格できないという。Enterprise Mobileでは、MicrosoftのWindows Mobileを搭載したデバイスを利用してモバイル化を進めている企業を支援している。

 ローゼンタール氏の立場からすれば、G1に批判的なのは当然かもしれない。GigaOmのオーム・マリク氏は、eWEEKのジョー・ウィルコックスの取材で、「AppleのiPhone、GoogleのAndroid、NokiaのSymbianの間でスマートフォン競争が激化する中で、Windows Mobileだけが取り残されている」と指摘している。

 しかしローゼンタール氏の主張にもうなずける。いわゆるクラウド(つまりインターネット)は、企業の機密情報やセンシティブな情報を保存したり送信したりするデバイスの基盤となるプラットフォームではないという前提に立つならば、である。

 ローゼンタール氏によると、企業の視点から見た場合、クラウドコンピューティングに欠落しているのは、クラウド内の情報のコントロールである。オープンなコミュニケーション構造を好む企業は少ないという。

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