IBMがスポンサーとなって行われた調査によると、コンシューマーと企業ユーザーはインターネットにアクセスするための手段として、標準的なPC(ノートPCを含む)よりも、AppleのiPhoneや、IntelがAtomプロセッサを通じて開発に協力しているモバイルインターネット端末などの携帯端末を好むようになってきたようだ。
10月23日に公表された調査報告書によると、インターネットにアクセスする手段として、伝統的なPCよりもスマートフォンなどの携帯端末を利用するユーザーが増えているようだ。この調査は、IBMがスポンサーとなって実施されたもの。
米国、中国、英国の600人のコンシューマーを対象に実施されたこの調査では、50%のユーザーが、インターネットにアクセスしたりWebベースのアプリケーションを利用したりするのに、伝統的なPCよりもスマートフォンなどの携帯端末を使うのを好んでいることが分かった。今回の結果は、IBM Institute for Businessが5月に行った委託調査「Go Mobile, Grow」の結果を裏付ける格好となった。
今回のIBMの調査の要約はこちら。
IBMの調査は、従来の携帯電話や高機能スマートフォン(AppleのiPhoneやResearch In MotionのBlackBerryなど)と伝統的なデスクトップ/ノートPCとの比較に焦点を当てたもの。調査の結果、インターネットアクセスについては、ユーザーはPCよりも携帯端末を使うのを好み、この傾向は今後数年にわたって拡大する見込みだ。調査の回答者の39%が、2011年までに携帯端末によるインターネットの利用を40%増やすつもりだと答えている。
今回のIBMの調査の結果は、コンシューマーと企業ユーザーの両方の間で、新タイプの携帯端末やスマートフォンに対する関心が高まっていることを示すものだ。AppleのiPhoneは大ヒット商品となり、GoogleのモバイルOSであるAndroidを採用したスマートフォン「T-Mobile G1」や、「BlackBerry Storm」などのスマートフォンも人気を博している。
一方、IntelやNvidiaなどの企業は、Webアクセスという用途に特化した新タイプのMID(モバイルインターネット端末)の開発を進めている。Intelは先週、同社の第2世代のMID用プラットフォームとなる「Moorestown」を2009年ないし2010年にリリースする予定であり、同プラットフォームでは、新しい45ナノメートルCPUをベースとする新しいSOC(System On Chip)技術を採用することを明らかにした。
今回の調査では、企業ユーザーとコンシューマーの区別がなされていないが、IBM Institute for Businessのシニア経営コンサルタントを務めるクリスチャン・サイダー氏によると、コンシューマーの方が企業よりもはるかに急速に携帯端末を受け入れつつあるという。その理由はさまざまだ。「しかし、セキュリティが企業にとって大きな懸念材料となっていることが、企業での携帯端末の採用の遅れにつながっている」とサイダー氏は指摘する。
「セキュリティが大きな不安要因の1つであることは確かだ。今のところ、こういった携帯端末の多くはファイアウォールやウイルススキャナを備えておらず、ハッカーからの攻撃増加に対して脆弱となっている」とサイダー氏はeWEEKの取材で語っている。
そのほかにも、企業での携帯端末の普及の障害となっている要因として、コストの高さ(サービスとデバイス本体)およびモバイル電子メール以外の業務アプリケーションの欠如が挙げられる。サイダー氏によると、SAPやOracleなどの企業がスマートフォン専用の業務アプリケーションの開発を目指しているものの、現時点では、携帯端末向けのアプリケーション開発のほとんどがコンシューマー市場に照準を合わせたものだ。(Googleは10月23日、BlackBerry用のGmailを強化したと発表した。)
IBMの調査では、コンシューマーはアプリケーションが動作する端末に対してよりも、自分が使用するアプリケーションに対する忠誠心の方がずっと高いことも明らかになった。回答者の約半数は、電子メールであれIM(インスタントメッセージング)であれ、自分のPCと携帯端末の両方で同じアプリケーションが動作することを望んでいる。
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