それなりの進歩が見られるVMware Server 2Super Review(2/2 ページ)

» 2008年11月06日 07時00分 公開
[Mayank Sharma,SourceForge.JP Magazine]
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VMのパフォーマンス向上

 VMware Server 2で特に重要なパフォーマンス面の強化として、Virtual Machine Interface(VMI)のサポートが挙げられる。VMIとは、ゲストOSがホストハードウェアに類似したソフトウェアインタフェースとやり取りできるようにすることで、パフォーマンスを向上させる準仮想化インタフェースである。

 Linuxカーネルのバージョン2.6.21以降にはVMIが組み込まれており、これを利用するには、VMを作成した後、ゲストのインストール前にVMIを有効にする必要がある。とはいえ、VMware ServerのサポートするすべてのVM(ゲスト)がVMIをサポートしているわけではないようだ。例えばFedora 9のVMでは、VMIのオプションが無効(灰色表示)になる。VMIを利用しない場合には、VMの動作がいちじるしく遅くなった。ただし、VMIを有効にした Ubuntu 8.04の場合、全体的なパフォーマンス向上はそれほど大きくなく、ゲストの起動とシャットダウンは非常に高速だったものの、OpenOffice.orgの起動にはネイティブで実行するときよりもかなり時間がかかった。不思議だったのは、Fedora 9もUbuntu 8.04も、Server 2.0よりWorkstation 6.5やVirtualBox 2.0.2の下でゲストとして実行しているときの方が、Intelの仮想化テクノロジー(Intel VT)を搭載した同じデュアルコアマシンを利用していても桁違いに速かったことだ。

そのほかの問題

VMの詳細設定 VMの詳細設定

 VMware Serverの最大の問題は、VM1つにつきスナップショットを1つしか保存できないことだ。同じく無償のVirtualBoxには、こうした制限は存在しない。VMに絶えず手を加えるなら、複数のスナップショットを保存できる機能が欲しいところだ。

 また、Workstation 6.5で利用できるような3D機能もサポートしていない。さらに、VMware Serverで追加のゲストOSをインストールしたところ、マウス関連の問題にも見舞われた。上方向のスクロールが効かなくなり、ゲストOSがマウスの動きに追従できなくなったのだ。VMwareフォーラムに書かれているように、「vmmouse」の代わりに正規の「mouse」ドライバを使うことで、この問題はある程度まで解決できる。

 ゲスト側のサウンド機能は動作するが、そのためには「Add Hardware」ウィザードを使ってサウンドカードを具体的に指定して追加する必要がある。VMの作成時には、ほとんど使う人がいなさそうなFDDなどより、サウンドカードを追加するオプションがあってしかるべきだろう。

まとめ

VMの詳細設定 VMの移動,VMの移動

 数日使ってみて、VMware Server 2には賛否の入り交じる印象を抱いた。その原因の大部分は、このソフトウェアがデスクトップ仮想化とサーバレベルの仮想化の双方を追求している点にある。デスクトップ仮想化ソフトウェアとしては、複数のスナップショット保存を除き、同じく無料のVirtualBoxに見られるほぼすべての機能がそろっている。VMを必要とするプログラムを書いている開発者ならば、VMware Server 2と付属のVIX APIを利用することで作業が楽になるだろう。

 エントリレベルのサーバ仮想化ソフトウェアをうたっているわりに、VMware Server 2のサーバ機能はWebインタフェースを使ったリモートアクセスに限られている。一方、VMware ESXiのような高度なサーバ仮想化プラットフォームは、コンパクトで、最低限のリソースで動作するように作られていながら、ネイティブに近いパフォーマンスが得られる。よって、サーバレベルで見ると、VMware Server 2はデモ用のプラットフォームに近いといえる。当のVMwareは、テストおよび開発用途ではVMware Serverの利用を、実稼働システムでは有償のVMware ESXiの利用を推奨している。

 結局のところ、VMware Server 2は、簡単にはVirtualBoxに移行できないVMwareのVMを利用しているような既存のユーザーをつなぎとめるには十分なできといえる。だが、VirtualBoxユーザーが乗り換えを決意するほどの機能やパフォーマンスの目新しさはなく、Webインタフェースを別にすれば、どの機能も競合製品で利用できそうなものばかりだ。

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