ドリルを売るなら穴を売る?――マーケティングの真髄はITサービスに通じる差のつくITIL V3理解(2/3 ページ)

» 2008年11月21日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

価値は有用性と保証からなる

 あらためて「価値」について考える。

 既に価値は「有用性」と「保証」から成る、と説明した(ちなみに有用性は「ユーティリティ」、保証は「ワランティ」と記述される場合もある)。

 有用性とは、顧客が望むものを得られるかどうか、つまり目的を達成するかどうかである。有用性が高いとは、顧客によりプラスの影響を与えるということである。顧客が望む目的によって、または時と場合によって、顧客に提供できるプラスの影響(これをパフォーマンスと呼んでいる)は大きいときもあれば小さいときもあるだろう。このパフォーマンスのばらつきが出るのは仕方がない。有用性を高めるというのは、プラスの影響をより多く顧客に与えられるようにする、ということである。

 図1は、ITIL書籍に載っているグラフを筆者が独自解釈したものである。横軸はパフォーマンスを示し、右にいくほどパフォーマンスが高いことを示している。縦軸はその有用性が得られる確率を示す。有用性を高めると、グラフ全体が右側に移動する。つまり平均してより高いパフォーマンスが得られるということである。

 一方、保証とは、有用性がどのように提供されるか、つまり高いパフォーマンスが得られることがまさに「保証」されているかどうか、ということである。言い換えれば、前述のパフォーマンスのばらつきを極力抑え、すべての顧客に等しく同程度のパフォーマンスを提供できるようにすることである。

 図2も同じく、ITIL書籍に載っているグラフを筆者が独自解釈したものである。高い保証が得られると、パフォーマンスのばらつきを抑えられる。この場合、低いパフォーマンスを提供する確率を抑えると同時に、高すぎるパフォーマンス(過剰サービス)を抑えるということにも注意して欲しい。

左=図1:有用性を高める効果(パフォーマンスの平均値を上げる)、右=図2:保証を高める効果(パフォーマンスのばらつきを少なくする)

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