あらためて「価値」について考える。
既に価値は「有用性」と「保証」から成る、と説明した(ちなみに有用性は「ユーティリティ」、保証は「ワランティ」と記述される場合もある)。
有用性とは、顧客が望むものを得られるかどうか、つまり目的を達成するかどうかである。有用性が高いとは、顧客によりプラスの影響を与えるということである。顧客が望む目的によって、または時と場合によって、顧客に提供できるプラスの影響(これをパフォーマンスと呼んでいる)は大きいときもあれば小さいときもあるだろう。このパフォーマンスのばらつきが出るのは仕方がない。有用性を高めるというのは、プラスの影響をより多く顧客に与えられるようにする、ということである。
図1は、ITIL書籍に載っているグラフを筆者が独自解釈したものである。横軸はパフォーマンスを示し、右にいくほどパフォーマンスが高いことを示している。縦軸はその有用性が得られる確率を示す。有用性を高めると、グラフ全体が右側に移動する。つまり平均してより高いパフォーマンスが得られるということである。
一方、保証とは、有用性がどのように提供されるか、つまり高いパフォーマンスが得られることがまさに「保証」されているかどうか、ということである。言い換えれば、前述のパフォーマンスのばらつきを極力抑え、すべての顧客に等しく同程度のパフォーマンスを提供できるようにすることである。
図2も同じく、ITIL書籍に載っているグラフを筆者が独自解釈したものである。高い保証が得られると、パフォーマンスのばらつきを抑えられる。この場合、低いパフォーマンスを提供する確率を抑えると同時に、高すぎるパフォーマンス(過剰サービス)を抑えるということにも注意して欲しい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.