刷新に当たり、R25.jpのサイト構成やデザインを分かりやすく変更した。以前はFlashを多用したコンテンツを豊富に用意したが、食いついたのはWebサービスを普段からよく使っているユーザー。幅広い読者の獲得にはつながらなかった。
「一般的な読者からはサイトが重いという一言で片付けられてしまった」と藤井氏は笑う。スペックが優れていても、使い勝手がよくなければ読者はサイトから離脱する。「Webサイトをあまり見ない人にとって、サイトの重さは致命的だった」(藤井氏)
こうした配慮から、Webコンテンツの数を減らし、レイアウトを簡潔にしたサイト構成に変更した。カテゴリーの設定により、どの記事がどこにあるかを読者に分かりやすく知らせることができるようになった。1ページ当たりの記事の文字数を800〜1000文字程度にすることで重厚感をなくしたほか、「記事を最後まで読んでくれる読者が多い」(事業開発室の小田晋太郎ジェネラルマネジャー)傾向から、投稿フォームや関連記事を記事下に集中的に配置した。
「編集力100%で勝負する紙媒体は読者とのやり取りが生まれにくい。Webメディアでは、一方的に情報を伝えることが読者の嫌悪感につながることもある。7割が編集力、残りの3割はWebらしさを出すといったバランスが大事」と小田晋太郎ジェネラルマネジャーWebメディアとして勝ち残るための秘訣は何か。藤井氏は、Webサービスや技術に寄りすぎないメディアを意識しているという。口コミなどを取り入れたCGM(ユーザー参加型メディア)型のWebメディアも少なくないが、「情報を一方的に投げるだけで終わることが多く、効果的な広告効果を生み出せない」と藤井氏は考える。
読者とのやり取りが多ければ多いほど、サイトに来て記事を読んでくれる「コアな読者」が増える。「こうした読者がいることをクライアントに示せれば、ページビューでは計れない広告価値を提供できる」(藤井氏)
バナー広告などに代表される“どれだけ閲覧数を稼ぐか”という広告モデルでは、大手メディアと同じ土俵には立てない。R25.jpではCGMの特性を生かした読者参加形式を活用して、親近感のある口コミを信頼感のある情報に変え、クライアントからの広告出稿と結び付けようとしている。
今後は記事と連動した辞書コンテンツを拡充するなど、バージョンアップを重ねていく見通しだ。藤井氏は「信頼感と親近感を持ち合わせた読み物を軸にして、Q&Aサイトや出版社のコンテンツサイトとは立ち位置の違うメディアにしたい」と力を込める。ページビューに頼らない新たなWebメディアとして、R25.jpは進化を続けていく。
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