生粋デジタルネイティブの勉強意欲をかき立てるITツール

マイクロソフトは小学校におけるICT教育を推進するプロジェクトの公開授業を行った。Webカメラを用いて遠隔地の小学校と授業交流をしたり、タブレットPCを用いた演習をしたりと、ICT機器を学習で使いこなす児童の姿があった。

» 2009年02月18日 08時00分 公開
[杉浦知子,ITmedia]

 東京都港区立青山小学校は2月17日、ICT教育の公開授業を行った。同小学校はマイクロソフトと独立行政法人メディア教育開発センターが推進するプロジェクト「NEXTプロジェクト」のモデル校。ICT機器を活用して児童の学力向上を目指す。ウルトラモバイルPCを60台、プロジェクターを各教室に1台ずつ導入し、漢字演習や調査学習、遠隔地の小学校との交流授業などで活用している。

「情報モラルの教育はとても大切」――MS樋口社長も授業に参加

 6年生は総合学習の授業で、タブレットPCと「Microsoft Office OneNote 2007」を用いて情報モラルのあり方を学んでいる。「文字だけのコミュニケーションを考える」と題された授業では児童が電子メールの文章を作成、ほかの児童の文章と比較し、効果的な電子メールの文章を考える。タブレットPCには無線LANが搭載されており、タブレットPC上でほかの児童の作品の閲覧やマーカーによる強調ができる。教室に設置したプロジェクターに投影して共有することも可能だ。

タブレットPC(左) 教室内にも携帯電話やPCを使う際の注意事項が掲示されている(右)
樋口泰行社長。児童に「どれだけ勉強したら社長になれるか」と問われ「勉強も大切だが、人の気持ちを考えること、クラスみんなのことを考えられる姿勢が大切」と回答する場面も

 公開授業に参加したマイクロソフトの樋口泰行社長は、小学生の段階から情報モラルに関する教育を受けることの重要性を話した。海外ではICT教育が広く普及していることに触れ「日本では、“インターネットは危ない”といったようなマイナス面が強調されすぎている。マナーやルールの教育をしっかりすれば、日本でも確実にICT教育が普及していくだろう」と述べた。

 同小学校での情報モラルに関する教育は授業だけにとどまらず、教室内や廊下にPCや携帯電話、インターネット、電子メールなどの利用における注意を喚起する掲示がある。

Silverlightでプレゼン、Roundtableで遠隔授業

 2年生の生活科の授業では、デジタルカメラで撮影した写真をマイクロソフトのメディアプレイヤー「Silverlight 2」の画像表示機能、Deep Zoomを生かしてプロジェクターに投影し、プレゼンテーションをする。PCを操作せずに、プロジェクターに触れるだけで写真の選択や拡大表示ができる。

 4年生の社会科の授業では、マイクロソフトの企業向けWeb会議システム「Microsoft Roundtable」と「Live Meeting 2007」用いて、和歌山市の有功東小学校の6年生と授業交流をしている。公開授業では「東京のことを分かりやすく伝える」をテーマに、プレゼンテーションやクイズを交えながら東京の名物などを紹介した。「お互いの顔を見ながら発表できるので、一方的な発表にならない楽しさがある」と授業を受けた児童は感想を述べた。

Deep Zoomの画像拡大表示機能を活用する児童(左) Webカメラの前に立ち、和歌山県の小学校の児童と交流する(右)

「学校が元気になった」――NEXTプロジェクトの効果とは

曽根節子校長 「ペンタブレットによる入力は、漢字演習において筆順を学ぶ際に効果的」と話す

 青山小学校の曽根節子校長はNEXTプロジェクトを、児童の学習意欲を喚起し、学習活動の活性化につながったと評価する。「学校に元気が出てきた」と笑顔を見せた。

 ICT機器を使用した授業を行った教諭は「紙を使った演習では、作業が行き詰まってしまう児童もいた。タブレットPCでは、操作する楽しさに惹かれて作業が進むこともある」と、児童の学習に対する姿勢の変化を成果として話した。

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