企業間コラボレーションが製造業の新たな活路にソニーとホテルが連携(1/2 ページ)

米国発の不景気に円高が追い打ちをかけ、日本の製造業は軒並み赤字に転落した。日本代表といえるソニーも例外ではない。ソニーはホテルなどとの提携を進める。ITを軸に業種を超えて顧客に新たな付加価値を提供する考えだ。

» 2009年03月17日 08時00分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 米国発の不景気に円高が追い打ちをかけ、日本の製造業は軒並み赤字に転落した。日本の中心的企業であるソニーも例外ではない。そんな中で、ソニーはホテルとの提携を打ち出した。ブルーレイやゲームなどを楽しんでもらい、宿泊客にソニー商品への愛着を持ってもらう。製造業とホテルが業種を超えて提携し、ITを軸に顧客に新たな付加価値を提供する考えだ。

 ソニー製品を組み込んだ特別室をつくり、宿泊客にユニークな時間を提供する羽田エクセルホテル東急を取材した。

1部屋しかない特別室。ソファーの配置や壁の設計など細かい工夫が施されている

 羽田エクセルホテル東急が提供する商品は「ブルーレイで観る“近距離恋愛”プラン」。ホテルの一室を、ソニーの関連会社でインテリアデザインなどを手掛けるソニー・ミュージック・コミュニケーションズが改装し、大型プロジェクターとプレイステーションなどを組み込んで、宿泊客がソファーに座りながら楽しめるようにした。

 視聴できる映画はソニー・ピクチャーズの『近距離恋愛』。恋愛をゲームのように楽しむ主人公のトムと、堅実で努力家のハンナが、あるきっかけから長い親友関係を超えて恋人同士として意識し始めるといった物語だ。現状視聴できるのはこの1作品のみとしている。

羽田エクセルホテル東急の高遠氏

 部屋では、映画に加えて、プレイステーションのほか、自分で撮影したデジタルカメラの写真を大画面プロジェクターで閲覧することもできる。周りに邪魔されることなく、静かな環境でさまざまなメディアを自由に楽しむには絶好の環境といえる。

 羽田エクセルホテルで販売促進アシスタントマネジャーを務める高遠信仁氏は、ソニーと組んだ理由について「羽田を目的地にしてほしいから」と話す。家族連れなど東京への観光客の多くは、国内線で羽田に到着すると、そのままディズニーランド近くにある舞浜の高級ホテルなどに移動してしまうという。同ホテルは、羽田空港の出発ロビーに直結している利点を生かし、そうした観光客を飛行機到着後そのまま羽田にとどめるための施策を打ち出している。ホテルの立地上、これまではビジネスマンの利用が多かったが、今後は家族連れを取り込んでいく考えだ。

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