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» 2009年04月07日 08時30分 公開

タスクチームのススメ(1):売り上げ目標だけで走るチームの落とし穴 (3/4)

[永井孝尚,ITmedia]

2-2 解決すべき問題、タスクの目的・目標の仮定義

 タスクリーダーの最初の仕事は、解決しようとしている問題、タスクチームの目的・目標の仮定義だ。

 タスクチームの結成は、マネジメントチームの会議(トップダウン型)や、現場スタッフ同士の話し合い(ボトムアップ型)で生まれたアイデアが出発点になることが多い。

 一方で、こうした話し合いでは解決すべき問題や目的が必ずしも明文化されているとは限らない。明文化されていても、それが論理的な構造になっていないこともある。

 また、マネジメントが直感的にタスクチームを作る場合もある。「直感は過たない。過つのは判断である」と田坂広志氏も述べているように、マネジメントの直感は正しい場合が多いのも事実である。しかし、この場合も問題点や目的は必ずしも明文化されていない。

 いずれにしても、タスクチームでは解決すべき問題が明文化されないまま立ち上がるケースが多い。この状態でタスクチームを進めても、タスクメンバーで問題意識を共有できず、議論が発散する恐れがある。タスクメンバーが同じ理解のもとでタスクチームに参加できるようにするには、解決すべき問題をしっかりと明文化しておくことが必要だ。

 目的と目標も定義しておきたい。ここで注意すべき点は、目標と目的は似ていて非なるものということだ。以下はこれらを混同して議論がすれ違ってしまった例だ。

Aさん「われわれの今年の売り上げ目標であるXX億円を目標にするのがシンプルでいいのではないか?」

Bさん「いや、売り上げの数字だけだと、何でもありになる。どのように活動するか目標を定義するのがいいのでは?」

Aさん「でも、そもそも我々はビジネスをやっているのだし、タスクの目的も売り上げ達成でしょう。」


 目的とは何のためにやるかを示したものであり、「目標」はどのような結果を目指すのかという基準を示すものだ。両者を区別しないと、このような堂々巡りの議論に陥る。

「市場のシェア低下」にタスクチームで取り組む

 「市場シェアが低下し続けている」という課題を考えてみよう。仮説として「個々の製品単体の売り込みばかりをやっており、顧客の課題を考え、全社一体でその課題を解決するような価値の訴求ができていない」ことが問題点に挙がったとする。

 この場合、タスクの大きな目的は「シェア回復」になる。だが、ここは目的を絞り、かつ抽象化して、「シェア回復のために、全社最適による顧客視点の価値訴求を企画・実施する」と定義する。そしてこの目的を達成するために、目標を「製品事業部A/B/Cの3部門が協働して、製品開発プロジェクトを年内に3件立ち上げる」と定義する。

 場合によっては、「売り上げ達成XX億円」という売り上げ目標を定義することがある。目的が正しく定義されていれば、売り上げ目標を立てることは悪いことではない。

 しかし、これが落とし穴になる。

「目的と目標を分離しない売り上げ目標」の落とし穴

 目的の定義が不十分だったり目的と目標が分離して語られたりする場合、目標の数字だけが社内を一人歩きし、売り上げ達成のためにはあらゆる手段が許されると受け取られる可能性がある。そして問題分析と解決に時間をかけずに、「とにかく売る方法を考えてすぐに実行しよう」という対策に走ってしまう危険性がある。 こうなると、問題を分析し構造的に解決するためにタスクチームに精鋭を集めた意味がなくなる。

 売り上げ目標を定義する場合は、例えば「製品事業部A/B/Cの3部門が協働して顧客視点で製品開発プロジェクトを年内に3件立ち上げる。売り上げ達成XX億円」というように、目的に合わせた目標にしたい。目標を明確にし、現状を把握することで、現状と目標のギャップが明確になり、それを埋めるために何をすべきかが分かりやすくなる。

 誤解を恐れずに言えば、ここで仮に定義した問題や目的、目標は、必ずしも守る必要はない。あくまで初期段階での仮説である。タスクチームを立ち上げて、最初の段階でタスクメンバーと話し合う際のたたき台として考えるべきだ。

 議論のたたき台の有無は、その後のタスクの進め方に大きく影響を及ぼす。たたき台がないと、タスクチームの目的や目標を討議しても、結論にたどりつきにくい。たとえ仮説でも、これを用意することで賛成反対の意見が出やすくなり、実りのある議論が起こるのだ。

 リーダーは「仮説の提案を作り、タスクチームの議論で検証する」ことを常に心掛けるべきだ。そして問題定義、目的、目標は、タスクチームで合意が取れたら、必ず守るようにしたい。

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