データセンター再構築はネットワーク起点で――シスコのUCS戦略最大のメリットはコスト削減

シスコはデータセンター仮想化ソリューション「Unified Computing System」の国内展開を表明。中〜大企業やホスティング事業者へ訴求する。

» 2009年04月07日 18時13分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シスコシステムズは4月7日、このほど発表したデータセンター仮想化ソリューション「Cisco Unified Computing System(UCS)」の国内展開について記者向けに説明した。中堅から大規模企業を対象に導入を訴求する。

 UCSはブレードサーバやネットワーク、ストレージ、仮想化技術を統合することで、データセンターを1つのシステムとして管理できるようにする次世代型のデータセンターアーキテクチャ。これにより、データセンターの運用および拡張に伴うコストを削減し、アプリケーションおよびサービスの迅速な立ち上げを可能にするという。

 出張先の米国サンノゼからテレビ会議で会見したエザード・オーバービーク社長は、「データセンター仮想化に伴う市場規模は約800億ドルであり、約200億ドルがUCSの領域になる。このうち日本市場は約50億ドル。企業のCEOが求めるコスト削減とビジネスの迅速化をUCSが実現させるだろう」と表明した。

UCSへ参加する国内パートナーの関係者

 UCSの展開では、IntelやAccenture、BMC、EMC、Microsoft、VMware、RedHat、SAP、Oracle、Unisys、NetApp、Novelなどが世界規模でパートナーとして参画しており、国内でも各社の日本法人と共同展開する。また、日本独自のパートナーでは伊藤忠テクノソリューションズ、NTTデータ、ネットワンシステムズが参画する。

 UCSの主要な想定顧客は、12〜16システムを運用する中規模以上の一般企業やホスティングサービス事業者、サービスプロバイダーなどとしている。

 一般企業向けには、「設備計画・展開」「技術サポート・運用管理」「最適化」「効率性・ファシリティ」「戦略的展開の支援」の5つの領域でUCSへの投資効果を最大化するためのサービスを展開する。「サービス主導型のビジネスソリューションとして経営戦略と整合性のあるUCSの利用を支援していく」(オーバービーク氏)

 ホスティング事業者やサービスプロバイダー向けには、データセンターの再構築に伴って対応すべき省電力化や運用性向上、可用性拡大といったさまざまな課題においてUSCによるソリューション導入を推進する。「あらゆるサービス、アプリケーション、デバイスをサポートできるようになるだろう」(同氏)

 UCSの中核となる同社初のサーバ製品「Cisco UCS B-Series Blade Server」は、Intel Xeonプロセッサ5500番台を搭載し、メモリ容量を最大384Gバイトまで拡張可能。各サーバはパートナー企業向けのXML APIや既存の管理ツール群に対応するAPIを介することで管理ドメインを統合できる。ブレードには複製可能なIDが割り当てられ、ユーザーはIDを切り替えることで展開しようとするサービスやアプリケーションに必要なシステムリソースを柔軟に設定できる。

UCS導入によるメリット

 同社の試算では320台のサーバを運用する企業の場合、UCSの導入によって新規サービスの立ち上げが数分程度に可能になるほか、設備投資額を43%、電源および冷却コストを19%それぞれ削減できる見込みであるという。

 UCSを構成する各種製品は、5〜6月にパートナー向け出荷を開始し、パートナー各社が接続検証などを実施する。その後今年末ごろから顧客向けに出荷を始めるという。価格は4月末に改めて発表する。

 オーバービーク氏は、「われわれはネットワークの世界から考えたデータセンターの仮想化に必要なノウハウとリソースを提供するため、(ハードウェアベースで考える)サーバベンダーとは違った提案ができるだろう。しかし役割はあくまでパートナーのビジネスに必要なリソースを提供することだ」と述べ、製品およびシステム構築に伴う支援サービスの提供に徹するとした。

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