Sunにとって最善の選択肢は、やはりIBM――アナリスト見解独立を維持できないなら(1/2 ページ)

IBMは買収提案を取り下げたと伝えられているが、アナリストらは、Sunにとって最良の選択肢はIBMとの交渉をまとめることだとしている。同社を買収したいと思う企業は少なく、独立を維持できる見込みも小さいようだ。

» 2009年04月07日 18時37分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 アナリストらによると、結局、Sun Microsystemsにとって最善の策はIBMに買収されることであるようだ。

 IBMによるSunの買収をめぐる交渉は二転三転している。IBMは約70億ドルの買収金額を提示していた。しかし伝えられるところによると、Sunの幹部が金額に難色を示したことで、IBMは4月4日、買収提案を取り下げたようだ

 Sun買収をめぐる動きの背景には、同社が巨額の赤字を出している(2008年10〜12月期は約2億900万ドルの損失、2009年1〜3月期は赤字幅がさらに拡大の見込み)ことに加え、同社がサーバ市場でシェアを奪われているという事実がある。サーバ市場自体も世界的不況の中で収縮しつつある。

 こういった状況のため、Sunを買収したいと考える企業は少なく、その中でも最も高い金額を提示し、買収に最も意欲的なのがIBMである。

 「基本的にサーバベンダーであるSunを買収する唯一のメリットは統合による効果だ」と指摘するのは、Forrester Researchのアナリスト、ジョン・ライマー氏。「相手の事業を丸ごと手に入れ、それを既存の事業に追加するということだ」

 IDCのアナリスト、マット・イーストウッド氏も、先週末に交渉が決裂したにもかかわらず、巨大技術企業同士の交渉は今後も続くとみている。

 「Sunを吸収して収益に結び付ける能力があり、しかもそれをやりたいと思う企業は、IT業界の中にはそれほど多くない」とイーストウッド氏は話す。

 アナリストらによると、市場の勢力地図の変化と世界的不況の中で自社の存続すら危ぶまれるという状況の中、独立企業として事業を継続するのが現実的な選択肢でないことは、Sunの経営陣も十分に理解しているはずだという。

 「交渉は今後も続くだろう。だが、Sunの強気な姿勢が取引の障害になっている」とイーストウッド氏は指摘する。IBMのほかには、Sunの獲得を狙っているベンダーは多くないという。「Sunは自分たちが誰からも見向きされなくなるのを望んでいないと思う」

 Sunは何カ月も前から身売り先を探していたと伝えられている。報道によると、Sunの幹部は、Hewlett-Packard(HP)とOracleの間で同社を2分割するという20億ドルの買収提案を拒否したらしい。Sunはこの取引を拒絶してIBMとの交渉に期待したようだ。

 Sunの買収相手としてもう1つ名前が挙がっていたのがCisco Systemsだ。財務状態が健全なCiscoは、ネットワーキングという枠を超えてデータセンターでのプレゼンスを拡大する方針だ。同社は3月16日、「Unified Computing System」構想を発表した。同構想には、Cisco自身のブレードサーバのほか、VMwareやEMCなどの企業との提携も含まれている。

 しかしForresterのライマー氏によると、この買収は理にかなっていないという。ハードウェアの技術的ノウハウを除けば、CiscoがSunから得るものはあまりないからだ。Sunのソフトウェアもあるが、それはSunのビジネス全体から見れば大きな部分を占めているわけではない。それに、Ciscoがソフトウェア分野で関心があるのはホスティング型ソフトウェアであり、同社がこれまでソフトウェア製品を拡張しようとしたことはないという。

 「CiscoはBEA Systemsを買収することもできたはずだが、そうしなかった。彼らはその機会を見送ったのだ」とライマー氏は語る。

 Oracleは2008年1月、BEAを約85億ドルで買収した

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