OracleがVirtual Iron買収で得るものこれで仮想化オールマイティーに(1/2 ページ)

Oracleはこの買収により、「Oracle VM」用のツールセットを獲得し、VMwareなどへの“仮想化税”から解放される。

» 2009年05月14日 15時08分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 合併・買収担当部門を常設事業部として抱えるOracleでは、最先端の総合的ITシステム企業になるという目標を目指し、自社の製品カタログに重要なアイテムを追加しようとしている。WindowsおよびLinuxの仮想化技術の配備を管理する次世代のツールボックスだ。

 Oracleは5月13日、Virtual Ironを買収すると発表した。この取引が完了すれば、OracleはEMC(VMwareを所有)、Microsoft(Hyper-V)、Citrix Systems(XenServer)、Sun Microsystems(Sun Containers、xVM Ops Center、VirtualBoxソフトウェア)とともに、サーバ仮想化製品を所有する数少ないITシステムプロバイダーになる。

 今夏以降、これらの企業の数が1つ減る。既に大きく報じられたように、4月20日に発表された74億ドルの買収により、SunもOracleの資産になるからだ。

 VMwareはエンタープライズITシステムの仮想化市場で約85%のシェアを確保しており、そのほかの企業は仮想化市場のパイの小さな部分を分け合っている状況だ。

 Oracleが成熟した仮想化ツールセットを欲しがる理由は幾つかある。

 第1の理由として、同社が目標とするフルサービス型ITインフラ企業になるためには、今後のすべての製品展開で仮想化ソフトウェア/ハードウェアに対するコントロールを強める必要があるからだ。OracleはVMwareなどのサードパーティー企業に“仮想化税”を払い続けたくないのだ。

 第2に、Oracleは自社で開発したXenベースのハイパーバイザー「Oracle VM」用のツールセットを充実させる必要がある。Virtual IronのプラットフォームもオープンソースコードのXenがベースになっているのは偶然ではない。Oracle VMは今のところ、Virtual Ironの「LivePower」のような優れた管理機能を備えていない。LivePowerは、サーバの消費電力をきめ細かく管理する機能を備える。

 つまり、この買収はOracleにとってグリーンITを目指した動きでもあるのだ。

 Oracleでは、Virtual Ironのツールを自社のVMレイヤーにバンドルすることで、仮想システムと物理システムの両方に対応した包括的な管理コンソールをユーザーに提供する考えだ。またVirtual Ironは、Oracleが現在提供しているツールよりも優れたキャパシティ管理ツールとサーバ構成管理ツールを提供している。

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