インタビュー
» 2009年05月20日 08時30分 公開

著者座談会:「クラウド本」でこれを伝えたかった! (5/7)

[聞き手:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]

カギを握るのはIBM?  マイクロソフト?

 ITmedia ベンダーでいうと、クラウド時代が仮に来たときにリードするのはどこでしょうか

横田真俊さん Amazon EC2/S3 クラウド入門 横田真俊さん

 松永 コンピュータの歴史をけん引してきた企業こそ、企業向けクラウドの覇者になるべきだと思います。そういう点でわたしが今1番期待しているのはIBMです。原点回帰というか、昔のようにパートナーとして企業とともに繁栄してきた時代を思い出して、クラウドの先陣を切るべきでしょう。

  IBMはクラウド・コンピューティング事業推進部を作って、全社横断的な展開をしていますね。非常に積極的な取組みをされていると聞いています。

 松永 現行部隊とクラウドのような新しいことを検討している部隊がきちんと情報交換し、顧客にとっての最善策を探ってほしい。事業部間の争いとかしてほしくないですね。

  IBMはハイブリッドで提案できるからいいですよね。バランスがとれています。

 松永 わたしの中では、マイクロソフトはまだ土俵に上がっていない。ソフトウェアべンダーにすぎません。客先に入り込んでニーズを聞き取った上でビジネスを展開するといったノウハウは、システムインテグレーターに溜まるわけで、マイクロソフトには落ちてきません。そうなると、マイクロソフトは現実的には先頭には立てないということになります。今のところ、イニシアチブはあくまで富士通や日立製作所にあるわけです。

  ただ、1番バランス取れているともいえます。デスクトップとクラウド、双方でサンドイッチされちゃったら他はかなわない。

 横田 クラウドがきて1番こわいのはマイクロソフトでしょうからね。

 ITmedia 通信キャリアはどうでしょうか?

 松永 キャリアは重要だと思います。強固なインフラを持っていますから。どう逆立ちしてもベンダーは、設備的に通信キャリアに勝てない。NTTが本気出すと嫌ですね(笑)。SaaSのプラットフォームもNTTコミュニケーションズとNTTデータで共有していて、NTTデータも日本キャップジェミニを買収してできたザカティーコンサルティングを獲得するなど、着々とやっているわけです。NTT再編前に着々ときちんとお金をかけて準備をしている。あんなのやられた日にはたまらない。NGNだ、SaaSだと微妙に足並みそろってないように見えるけど、あれどう見ても最後には1個に統合される。世論を見ながらうまい具合にごまかして、小出しにしてるとしか思えません(笑)。

 ITmedia 話としてすごく面白いですね。

 松永 でしょう(笑)。やっぱりキャリアは強いと思いますよ。でも不器用だから、最初から全部自社でというのではなく、まずはパートナーシップだと思うんですよ。1社だけで全部やろうとするのではなくて、組んで行こうとするでしょう。

 横田 ミッションクリティカルなところはそれでいいと思うんですけど、価格の安いところとか、今のプライベートクラウドのようなものって、キャリアのデータセンターでやると、おそらくコストが相当掛かる。そのコストをどこが取るのかは疑問です。

 松永 それはGoogleとAmazonでいいんじゃないですか(笑)

 横田 そうなっちゃうんですよね(笑)。そのとき日本はどうすればいいんでしょうね。

 松永 Google、Amazonがあそこまで大きくなっちゃったら、いまさら追いかけるのは無理でしょう。あきらめて白旗あげちゃった方がいいと思うんだけど。

  違った発想が必要ですよね。「キャリアグレードクラウド」とか、そっちの思考で展開していくとそれはそれで面白いと思います。

 松永 Google、Amazon、IBM、キャリア以外だと通信キャリアなんでしょうね。今の時代、何があって事業転換するか分からないし、もしかしたら新しい事業モデルが出て、Googleは買収されるかもしれないから、先のことは分からないけど。AT&Tが買収されるなんて、かつて誰も予想できなかったみたいにね。ただインフラとしてGoogleのクラウドが消えるとは思いにくい。ここ5年とかじゃ変わらないんじゃないかな。

  NECはあえて自社でクラウド基盤を作り、ユーザーに提供していこうという試みをしています。日立や富士通などもいろいろ意識改革をして、アプローチしようという感じはあります。

 松永 ポイントはあくまでサービスですよ。クラウドの矛先って一般ユーザーや企業よりも「こんな面白いアイデアあるんだけどお金はない」というサービスをクリエイトする人たちを対象にしない限りはだめです。

 横田 もともと、スモールスタートで始められるというのが、クラウドの魅力ですからね。

 ITmedia となると、SaaSの良さというのは小さな会社でも、良いプログラムやサービスを出していけば、一発逆転の発想で大きくなれる可能性があるといった点でしょうか。

 横田 それはあると思いますね。Twitter、animotoとか。

 松永 プログラムを書いている人たちに夢を与えますよね。わたしは、これからの日本のIT産業を支えるのは、コードの書けるエンジニアだと真剣に思っています。

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