インタビュー
» 2009年05月20日 08時30分 公開

著者座談会:「クラウド本」でこれを伝えたかった! (2/7)

[聞き手:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]

クラウドの信頼性は?

 ITmedia 品質に関して、技術面についてお聞きしたいと思います。大企業がクラウドを使うには、十分な信頼性を担保しないといけません。2月にはGoogleが提供する電子メールサービスであるGmailが障害を起こしました。企業ユーザーにとってこうした障害が自社の電子メールシステムに起きるのは明らかなリスクです。

 松永 企業システムの信頼性は企業の規模、業種、どんなシステムかによっても違います。ひとことでクラウドの信頼性が企業システムに耐え得るかうんぬん、という話はナンセンスです。

 横田 絶対落ちないシステムはないですからね。金融系企業の情報システムはコストを掛けています。落ちても仕方ないと割り切れるようなシステムなら、クラウドを使う意味はありますが、ミッションクリティカルなものへのクラウドの導入は、もう少し先の話になるでしょう。

  インターネットって今はベストエフォートの考え方で運用されてますよね。SLA(service level agreement/サービス品質保証契約)もない。VPNとかNGNならSLAで保証されてるし、高い品質を持っています。個人的には、少なくとも中小企業に関してはある程度品質を担保した回線でクラウド環境を使えば、自社で構築するよりもクラウドの環境の方が信頼性は高いのではないかと思います。

 横田 データセンターの方が安全じゃないかという考えもあるんですが。3年前のお盆休みに、クレーン船の事故で東京が停電になった影響で、ある会社のデータセンターが丸ごと落ちたという話を聞きました。「クラウドは安全じゃなくてデータセンターは安全だ」というのもちょっと難しいです。その点、AmazonEC2は、自社のシステムを置く地域を選択できるので、例えば米国と欧州など地域を分けておけば、どちらかが落ちても片方で復旧できます。

 松永 例えば、通信キャリアの通信設備にあるデータセンターはすごいですよ。企業によっては、それこそ自社でシステムを持つよりも、そうしたデータセンターに置いた方がはるかに信頼性は上がるケースだって数多くあるでしょう。データセンターにも松竹梅があり、企業が投資できる範囲でのデータセンターのレベルにも松竹梅があるわけですよ。まずは、企業は一般論に流されるのではなく、自社のデータセンターを客観的に評価するのが先決かと思います。

  データセンターもこれまでは東京に集中していてユーザーニーズもあったんですが、コスト競争で太刀打ちできないため新しい発想が求められています。グリーンITが話題ですが、実際に、北海道で雪氷を蓄積して夏のサーバ冷却に利用してデータセンターの消費電力を抑える、といった試みがあります。

 新たな雇用を生みながら、海外に比べて信頼性のあるデータセンターが作れるんじゃないか。データセンターの在り方がもっと積極的に議論されても面白いですね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -