インタビュー
» 2009年05月20日 08時30分 公開

著者座談会:「クラウド本」でこれを伝えたかった! (4/7)

[聞き手:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]

クラウドで産業力はあがるのか?

 ITmedia クラウドの普及は日本の産業力アップにつながるでしょうか?

 松永 NTTコミュニケーションズがタイでSaaS型のグローバルメッセージングサービス始めたでしょ。あれ、地味だけどすごい意味があると思ってるんですよ。目新しいサービスは何もない。ただ現実問題として、日本から新興国に進出した企業には品質面や現地でのリソース不足などで困っているところがたくさんあって、そこに目を付けたのがいい。顧客と対面することによって、派手ではなくても企業にとって貴重なサービスが出てくる可能性がある。そして、日本企業がそういったITサービスで競争力を強めることが出来るならば、確実に日本の産業力のアップにつながるはず。だから、日本発グローバル企業のクラウドは日本で仕切らなきゃ絶対だめなんですけどね。

  クラウドの環境を輸出していければ、もっともっと日本の産業はプラスに作用すると思いますが、海外の攻勢が強いのでそこにどう対抗していくかが問題です。ただ少なくともアジアに関しては、守っていくというか負けないようにして、情報を日本に誘致していく仕組みを作っていくべきではないかという気はします。

 ITmedia 日本の産業を見回して、クラウドを使った方が良い結果が見える分野などはありますか。例えば地方の中小企業とか。

  そうですね。中小企業はただ使うだけでなく、もう少しシステマチックに大企業や親会社と連携するような仕組みを作って、その企業のコアコンピタンスに注力できる環境があればいいんじゃないかと思いますね。

 松永 わたしは中小企業が、企業向けクラウドの原型を形成していくと思っています。クラウドは、大企業みたいにお金をかけてITに投資できない中小企業にとって救いの神です。まずはそこからブレークしていって、もしかしたら中小企業が使っているサービスを拡張させたものを大企業が使うといった、これまでとは逆の形もあり得ると思います。

  大企業は個別システムを簡単に更改できない。中小企業が柔軟性を生かして大企業に匹敵する環境を作ることは可能だと思います。

 日本がクラウドを展開していくなら公共を意識したい。例えば防災です。災害が起きたときにリソースを被災地に配分してやるとか、教育や医療などもそうですし、公共、民間産業といったいろんな機関をクラウドで環境を使って結んでいく必要がある。たぶん日本のIT企業が外資系に対抗するためには、公共分野を1つのトリガーにしていけるといいのではないかと思います。

 ITmedia 先日、山梨県甲府市の定額給付金の管理システムにセールスフォース・ドットコムのサービスが使われたというニュースがありました。

  まさにそういう分野に使われるといいんじゃないかと思います。地方自治体があえて定額給付金のシステムを構築する必要がないわけですから合理的です。

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