インタビュー
» 2009年05月20日 08時30分 公開

著者座談会:「クラウド本」でこれを伝えたかった! (3/7)

[聞き手:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]

SLAより説明責任を

 ITmedia SLAを結んでいるとはいえ、障害があった場合に管理会社以外はデータセンターに手出しできないことが問題になりませんか。その責任問題ってクラウドを導入する場合の足かせになると感じます。

 松永 今でも自社でシステム運用を全部やっているところはないですからね。クラウドになったからといって、運用プロセスをきちんと設計できれば問題ないと思います。

  そうですね。ただ海外の事業者を使うと日本の法律が通用しないところがありますから、クラウドに伴って今後は何らかの標準化や制度の整理をしていかないといけないなと感じています。それをどうするかは分かりません。料金返還とかはあるんですが、制度上でもう少し解決しておかないと国際紛争に陥ることになりかねません。

 横田 ここで3000円戻ってきても――。っていう話になるんですよね(笑)。

エリック松永さん クラウドコンピューティングの幻想 エリック松永さん

 松永 わたしはそこが日本が外国に差別化できる点ではないかと思っています。例えば極端な話、米国人は「契約はここまでだから、その先は僕の仕事じゃありません、それ以上言うんだったら弁護士通してください」って言いますよ。

 そういうとき、日本企業は断らない。お客さんから「何とかしてください」と言われたら「分かりました」と言ってやるんですよ。義理と人情のお国柄ですからね。だから、実は日本のシステムインテグレーターって世界でも水準が高いんです。とにかくやり切る、最後まで作り切る。お客さんに対する献身性というか、そういうところに満足感を抱く国民性を持っているんですよ。そんな日本的なスピリッツをクラウドに持ち込んで、そういうサービスをすればいい。欧米型を真似ても仕方ないんですよ。

  SLAがどんどん導入されるようになると、いち企業のSLAだけでは信頼されない。米国では企業のSLAを監視する事業者も出ています。何か起きたときに保険を使ってやる、みたいなSLA周辺ビジネスも増えてくるんじゃないでしょうか。

 松永 今回の金融危機で米国の弱さを知るべきですよ。信頼は決して返金額じゃない。さも正しそうなリスクをお金にする仕組みを作っても、結局、破たんしたじゃない? 彼らは払えない信用をマネーゲームで作り上げた。ITも同じで、SLAの考え方も、想定内の出来事なら保証できても、想定外のことが起きてしまったら破たんしますよ、きっと。だから、クラウドを導入するなら、そういう欧米式の考え方のリスクを理解した上でやるべきだと思いますね。安くてSLAがしっかりしているなんて信用して導入すると痛い目に合います。

  企業、事業の信頼性を事前にチェックする必要するがありますね。いくらSLAがあっても企業として存続できない場合もあったりするので。

 横田 AmazonEC2を使う側からいえば、今はSLA以前の問題です。まず、何で落ちたのかちゃんと説明してほしい。原因が分かれば対応もできるますので。システムが全く落ちないっていう話はあり得ないんだけど、Amazonが落ちたのか、僕らのミスで落ちたのか、そこの線引きが難しい。とはいえ、今のところAmazonが落ちても、サービス提供者である僕らが謝るしかないわけです。だから、まず落ちたときにちゃんと説明してくれるかどうか。SLAの話はその後ですね。

 特にAmazon EC2は、ポンポンポンとクリックするだけで、個人でも簡単にできちゃう。手軽に使えるものだから契約もあまり読んでいない。しっかり読めば書いてあるんでしょうけど、実は僕もちゃんと読んでいないくらいです。有償のサポートもありますけど、そもそも英語だからうまく伝わらないというのもあって。日本語でサポートにメール出したら、英語で書いてくれって日本語で返事が返ってきたっていう話もあるくらいです。(笑)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -