インタビュー
» 2009年05月20日 08時30分 公開

著者座談会:「クラウド本」でこれを伝えたかった! (6/7)

[聞き手:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]

メイド・イン・ジャパンはクラウドに可能性を見いだせるか?

  日本人はもともと技術力がありますし、能力も高いです。それを世界に向けて発信できる制度やクラウドの基盤があれば、逆に輸出できるんじゃないかと思うんです。

 ITmedia クラウドに関する取材をしていて、そのあたりが気になります。現状でも、ERPにしても何にせよアプリケーションに関して言えば日本製品は弱いです。それがクラウドではどうなるのか。

  業界でも「メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)」というのを作って、メイド・イン・ジャパンのソフトウェアをどんどん海外に展開していこうと力をいれていると聞いています。

 ITmedia わたしが聞いている限りですが、MIJSも現状はそれほど盛り上がっていないようです。SaaSの方が、パッケージソフトとしての形態よりも、ソフトウェアを提供しやすくなると思いますが、SaaSに新しい可能性はないのでしょうか。

 松永 可能性はあると思います。でも今のやり方だとダメです。日本企業のニーズも満たしていないのに、海外も何もありません。日本企業のニーズを本当に満たすSaaSやクラウドは、海外にはありません。いきなりGEじゃなくて、日本初のグローバルカンパニー、トヨタ自動車やソニーにクラウドを導入できれば状況は変わるでしょうね。トヨタやソニーが使うものなら、国内他社だけでなく世界中が注目すると思います。

  わたしはそのトリガーになるのが携帯電話だと思っています。日本の携帯って技術的には先端を行っている。それを使ってどうビジネスに生かしていくか。携帯もおそらくクラウド化していくので、例えばライフログを生かして情報提供していくといったノウハウでは日本が引っ張っていかないといけないかなと。それを逆輸入していく。いままでは端末がメインでしたが、もっと踏み込んだところでやっていくとうまく行くんじゃないかなという気はしているんですけど。

 松永 日本の携帯電話市場はちょっと変わっていて、いままではキャリアがサービスまでワンストップで全部牛耳る垂直統合モデルでやってきたんですが、端末で差別化する時代が終わってしまった。iPhoneがサービスでもうける成功をまんまと見せ付け、サービス主導が明確になった。この経験をクラウドにも生かすべきですよね。

  NTTグループでも「次世代サービス共創フォーラム」というパートナー企業とサービスを創出するプログラムを組んでいますし、外資系もいろいろな企業がさまざまな提携、連携を進めているので、市場は大きく変化しながら、これまでとは違った市場が生まれる可能性もあります。

 ITmedia ところで、日本のアプリケーションが世界に出られなかった理由って何だと思いますか。

 松永 企業向けのアプリケーションについては契約の問題でしょう。受託でお客さんの資産になるような契約になっているから、外に展開できない。

 ITmedia 言葉の問題もありますね。

  それはありますね。

 松永 でもそれは逆に牛耳られない理由でもある。

  欧米では1960年以降、GoogleやMicrosoftなど、創業者が理工系出身で1兆円を超える規模の企業が出てきています。しかし、日本においては、皆無の状態です。創業者に文系出身が多いのも一因ではないかと思いますね。海外に比べて日本の経営層には技術を深く理解して、それを生かしたサービスを提供していこうという文化があまりないように見られます。世界と競争していくには、もっと技術志向で経営に生かしていくという発想を持っていく必要があるんじゃないかなという気がします。

 ITmedia海外に営業をかけていなかったというような単純な原因のような気もしますが、いかがでしょうか。

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