富士通がFJBを完全子会社化、中堅法人市場向け事業を再編IAサーバやSaaS事業を強化

富士通は、8月1日付けで富士通ビジネスシステム(FJB)を完全子会社化する。年商300億円以下の中堅市場向け製品の一部や営業機能などをFJBに集約する。

» 2009年05月21日 19時15分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 富士通は5月21日、富士通ビジネスシステム(FJB)を8月1日に完全子会社化すると発表した。成長が見込まれる中堅市場向け事業を集約し、顧客の重複などの課題を解消するなどして、2013年度に5000億円規模の売上高を計画する。

 富士通は現在、FJB株式の53.15%を保有しているが、株式交換により100%取得を目指す。交換比率はFJB株式1株に対し、富士通株式3.50株。FJBは7月27日付けで上場廃止になる予定。

会見する富士通の広西副社長(左)とFJBの鈴木社長

 FJB取得について富士通の広西光一副社長は、グループ全体の再編の一環として国内地域での役割分担を明確にするためと説明。2社の事業で重複する年商300億円以下の企業や人口30万人以下の自治体向けビジネスを統合、効率化するのが狙いだという。

 富士通は、再編後のFJBを中堅市場でのグループ中核企業に位置付ける。富士通本体の中堅市場向け営業機能を東名阪地域から順次FJBへ集約し、商品企画やマーケティング、提供などの機能も移管する。また10月以降、富士通の中堅市場向けパッケージ製品ブランド「GLOVIA Smart」もFJBに移管。一方、FJBで年商300億円以上の大手市場を担当する機能は富士通本体に集約する。

 FJBの鈴木國明社長は、統合による中堅市場向けの商品力強化を目標に、特にIAサーバ「PRIMEGY」を中心としたソリューションビジネスの推進、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)アプリケーションの拡大を図ると表明した。

 中堅市場における売上高は、2008年度で約3500億円程度といい、再編後は年率5%増の成長を見込み、2013年度に売上高約5000億円を計画。鈴木氏は、「特に中堅市場ではソフトウェアおよびサービスの事業が成長している。FJB単体では500億円程度だが、富士通分と統合化による効率化によって、十分に達成できるだろう」と話した。

 同氏によれば、ソフトウェア・サービス分野の売上高比率は2002年度で27%(約450億円)だったが、2008年度は45%(約680億円)に拡大。一方、ハードウェア分野は50%から30%程度に縮小した。

完全子会社化後の事業イメージ

 子会社化の背景について広西氏は、「2社で顧客を奪い合ったり、製品ラインアップに不備があったりといった長年の課題を抱えていたが、今の不況下で断行しなければ今後の成長が見込めないと判断した。年商300億円の企業が使えても、100億円の会社では使えないといった製品ラインアップに対するパートナーの不満も強い」と話した。鈴木氏は、「これらの課題は解消され、FJBが得意とする経営視点のコンサルティング営業力をより小規模の法人に展開できるようになる」と説明した。

 FJBは完全子会社化後の新体制を10月1日付けで発足させる計画。具体的な再編は今後詳細を詰めるが、対パートナー企業への展開では新体制後のFJBが中核となり、商品開発や共同マーケティング、購買などを行っていく。

 FJB以外の国内子会社に対する再編計画について、広西氏は「日々検討しているが、今回のような手段に限定することなく、各組織の役割分担を明確にできる方法で進めたい」と述べ、明言を避けた。

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