ノウハウを出したくない心境ITのコミュニケーションが失敗する理由(3)(2/2 ページ)

» 2009年05月27日 09時15分 公開
[大木豊成,ITmedia]
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社内Twitterの可能性

 最終回なので、もう1つ考えておきたい。社内Twitterの可能性だ。Twitterを使っている読者も多いと思うが、個々のユーザーが「つぶやき」を投稿し合うことでつながるコミュニケーション・サービスだ。米Obvious(現在のTwitter)が開発し、2006年7月にサービスを始めたものである。

 短文をフォローし合った人同士で共有するものだが、飛躍的にユーザー数が増えている。これは外部サービスだが、わたしはこれを社内に導入する可能性があるのかどうか、と考えている。

 これはぜひ読者諸氏にもお考えいただきたいところであるが、TwitterはIM(インスタントメッセンジャー)と違い、相手がオンラインかどうか分からない。ここが良い点だ。オンラインかどうかが分かることで、コンタクトされたら返事を返さないわけにはいかなくなるからだ。個人同士なら「忙しいから」といって断ったり、無視しても問題なく過ごせるかもしれないが、社内でとなるとそうはいかない。

 Twitterであれば、そういった精神的負担を回避できる。またTwitterを使うことで、アイデアベースの内容をゆるく発信してみることができる。電子メールで発信するとなると、きちんと整理しなくてはならなくなり、中には資料まで添付してくる。発想を必要とする企業の場合、そうではなくスピードを重視することが多い。そういった企業では、Twitterのような文字数が制限されているくらいが良いのではないかと考えている。

 情報発信、情報共有という言葉だけでは、何を発信したいのか、あるいはしてほしいのか。何を共有してほしいのかが分からない。各部門、あるいは経営層を巻き込んで、どういったことが問題であり、何をしたいと考えているのかをはっきりさせる必要がある。そしてそれは、電子メールを送るだけではなく、きちんとオフラインのミーティングを行うべきだ。

 ITを使ったコミュニケーションが失敗するのは、ITだけに頼ってしまうからだ。また、コミュニケーションツールは導入すればいいというものではない。創意工夫しながら、社内で使われるように伴走し続ける人の存在が大きい。そうやっていくことで、社内のコミュニケーションが活性していき、大切な情報が共有されていくのだと思う。

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著者プロフィール:大木豊成(おおき とよしげ) 

大木豊成

シンガポール大学(現NUS)卒業。米国PMI認定Project Management Professional取得。事業やサービスの立ち上げの経験を生かし、株式会社IWNCの組織開発コンサルタントを担当しています。組織もプロジェクトも、疲弊させず、常に活性し続けることが大事だと考えています。


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