2009年、デジタルサイネージのトレンドは?――携帯電話&chumby編デジタルサイネージジャパン 2009(1/3 ページ)

デジタルサイネージの最近の進化の中で見逃せないのが、携帯電話を利用したアプローチが増えていること。“身近なデータ端末”という携帯電話の特性を生かし、よりパーソナルにデータを配信しようとする新しい試みを紹介する。

» 2009年06月12日 21時35分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 6月10日から12日まで、幕張メッセで開かれている「デジタルサイネージジャパン 2009」。デジタルサイネージをテーマに、普及啓発・ビジネスの活性化を目的とする国内唯一の展示会だ。

 最近のデジタルサイネージ領域の全体的なトレンドについては別記事を参照いただきたい。本記事では特に、携帯電話に関する展示内容を中心に取り上げる。携帯電話ではないが、無線LANデバイス「chumby」を使った例も最後に掲載する。

看板から携帯電話へクーポンを送る

 「デジタルサイネージと携帯」といっても、アプローチはいろいろ。タイプ別に分類すると、以下の3種になるだろう。

  1. デジタルサイネージからユーザーの携帯電話へデータを送るもの
  2. ユーザーが携帯電話を使ってデジタルサイネージへ働きかけるもの
  3. 携帯電話そのものをデジタルサイネージのディスプレイとして利用するもの

 1つめのタイプは、デジタルサイネージのディスプレイに表示したデータや、もっと詳細な内容を、ユーザーの携帯電話に送るもの。ディスプレイにFeliCaリーダー/ライターが埋め込んであれば、ユーザーは携帯を“かざす”だけで、「トルカ」や「auケータイクーポン」などの形でデータを受け取ることができる。おサイフケータイがこれらの機能に対応していなくても、URLは受信できるので携帯サイトへはアクセスできる。

 ユーザーの携帯がおサイフケータイでない場合(FeliCa端末ではない場合)も、ディスプレイにQRコードを表示することでほぼ同等の情報をユーザーの携帯に送ることができる。しかしユーザーの立場になると、“かざすだけ”でよいおサイフケータイに比べ、手間がかかって面倒な点は否めない。

 このタイプのディスプレイは、別記事で紹介したパナソニックデジタルコミュニケーションズ(ピーディーシー)の「タッチパネルデジタルサイネージ」などいくつか見かけた。今回は出展していなかったが、東京・秋葉原駅の「SuiPo」(参照記事)長崎駅や福岡・天神駅の「ナビタッチ」(参照記事)など地図と連動している例もある。また屋外に設置できるよう、防水・防塵対応を行ったディスプレイも増えつつある。

東和メックスの「BRID(ブリッド)」。本体側面にメモリスロットが付いており、データを入れたCFやSDカードを差し込める。LED部分に流すテキストは専用のリモコンで入力する。本体が62万円、スタンドが6万円

 大型ディスプレイだけでなく、設置・移動が簡単な中型・小型ディスプレイでも携帯対応のものが出てきている。東和メックスの「BRID(ブリッド)」は、液晶画面とLEDを1つのディスプレイに表示する看板。スピーカーも付いており、音声を出すこともできる。電源のあるところであれば屋内・屋外いずれにも設置でき、スタンド下部にキャスターが付いているので、移動も容易だ。

 オプションとして、LED部分の下にFeliCaリーダー/ライターを埋め込んだモデルも販売予定(写真左)。店舗の前などにBRIDを設置し、クーポンやポイントを配布する、という使い方を想定している。

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