デジタルサイネージの最近の進化の中で見逃せないのが、携帯電話を利用したアプローチが増えていること。“身近なデータ端末”という携帯電話の特性を生かし、よりパーソナルにデータを配信しようとする新しい試みを紹介する。
6月10日から12日まで、幕張メッセで開かれている「デジタルサイネージジャパン 2009」。デジタルサイネージをテーマに、普及啓発・ビジネスの活性化を目的とする国内唯一の展示会だ。
最近のデジタルサイネージ領域の全体的なトレンドについては別記事を参照いただきたい。本記事では特に、携帯電話に関する展示内容を中心に取り上げる。携帯電話ではないが、無線LANデバイス「chumby」を使った例も最後に掲載する。
「デジタルサイネージと携帯」といっても、アプローチはいろいろ。タイプ別に分類すると、以下の3種になるだろう。
1つめのタイプは、デジタルサイネージのディスプレイに表示したデータや、もっと詳細な内容を、ユーザーの携帯電話に送るもの。ディスプレイにFeliCaリーダー/ライターが埋め込んであれば、ユーザーは携帯を“かざす”だけで、「トルカ」や「auケータイクーポン」などの形でデータを受け取ることができる。おサイフケータイがこれらの機能に対応していなくても、URLは受信できるので携帯サイトへはアクセスできる。
ユーザーの携帯がおサイフケータイでない場合(FeliCa端末ではない場合)も、ディスプレイにQRコードを表示することでほぼ同等の情報をユーザーの携帯に送ることができる。しかしユーザーの立場になると、“かざすだけ”でよいおサイフケータイに比べ、手間がかかって面倒な点は否めない。
このタイプのディスプレイは、別記事で紹介したパナソニックデジタルコミュニケーションズ(ピーディーシー)の「タッチパネルデジタルサイネージ」などいくつか見かけた。今回は出展していなかったが、東京・秋葉原駅の「SuiPo」(参照記事)や長崎駅や福岡・天神駅の「ナビタッチ」(参照記事)など地図と連動している例もある。また屋外に設置できるよう、防水・防塵対応を行ったディスプレイも増えつつある。
大型ディスプレイだけでなく、設置・移動が簡単な中型・小型ディスプレイでも携帯対応のものが出てきている。東和メックスの「BRID(ブリッド)」は、液晶画面とLEDを1つのディスプレイに表示する看板。スピーカーも付いており、音声を出すこともできる。電源のあるところであれば屋内・屋外いずれにも設置でき、スタンド下部にキャスターが付いているので、移動も容易だ。
オプションとして、LED部分の下にFeliCaリーダー/ライターを埋め込んだモデルも販売予定(写真左)。店舗の前などにBRIDを設置し、クーポンやポイントを配布する、という使い方を想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.