キー配列にこだわる怪光線の主?悲しき女子ヘルプデスク物語(2/4 ページ)

» 2009年06月17日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

「連れてって」なんてお願いされたら、断れない?

 以前、連載の中ではアヤしいPCオタクのような取り上げ方をしてしまったが(Aさん、ごめんなさい)、普段はとってもフツーの人なのだ。しかし今日は声のトーンがやや低い。やはり何か深刻なことがあったのかもしれない。半分腹をくくって「何かあったのでしょうか?」と聞いてみるわたし。

 Aさんは自席の椅子に深く座り込み、わたしはAさんのデスクのやや斜めに立っていた。いつになく真剣な面持ちのAさんに、わたしもつい緊張して生唾を飲み込む。

Aさん 実はね……。昨日、会社の帰りにちょっと家電量販店に寄ったんだよ。

 ……? 意外な発言だ。先が読めない。

Aさん Happy Hacking Keyboard Professional JPを見たくてねえ。

 「はぁ」と返事をしながら、胸の前に待機させていたメモとペンを下ろすわたし。

Aさん Happy Hacking Keyboard Professionalは、前から使ってみたいと思っていたんだけど、単独のカーソルキーが存在しないのはわたしにとってネックでね。カーソルキーがあればいいのになぁ、と思っていたら、どうやら昨年末に発売されていたらしい。うかつだったよ。今まで気が付かなかったなんてねえ。わたしとしては、4年待ったよ、4年。売り場にはデモ機以外に1台だけ残っていてね。デモ機を触ると、いやぁこれがまた、いい感触でねえ! Realforceと同じ仕組みのキーボードだから、打鍵感が手になじむのは当然としても(注:AさんはテンキーのないRealforceを愛用している)、問題なのは「最後の1台」だ、ということなのよ。手に取ったらキーボードが、「連れて帰って欲しいなあ、1人じゃ寂しいなあ」って話しかけてくるんだよ。

 話しかけてくるんですね……キーボードが。さっきまで抑えていた声のトーンは少しずつ上がってきた。そうか、自分のテンションを抑えるのにわざと声を殺していたのか。うれしくてしようがないから、同好の士だと思い込んでいるわたしに報告(という名の自慢)をした、というわけか。たはっ。

Aさん キーボードから「連れてって」なんてお願いされたら、断れないじゃない? ということで、これ、衝動買いしちゃった♪

 いや、断れると思うぞ。数年前にはやったチワワのCMじゃあるまいし、と内心思うわたしを気に留めることもなく、Aさんは箱に入ったままの(でも、封は当然開いている)Happy Hacking Keyboard Professional JPをおもむろに机の上に出した。ちなみに、色は黒だった。それにしても小さい……。

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