グリーンITは企業の必須課題に――シマンテックが意識調査

約9割の企業は、従来に比べて価格が高くてもエネルギー効率のいい製品を購入すると回答している。

» 2009年06月22日 16時12分 公開
[ITmedia]

 シマンテックは6月22日、企業のグリーンITに対する意識調査の結果を公表した。電力消費やデータセンター冷却といったコストの削減に対する意欲が高いという。

 調査は米Symantecが調査機関のApplied Researchに委託して3月に実施し、従業員1000人以上の企業1023社(国内は123社)から回答を得た。回答者の職位は、企業のCIOやCTO、副社長クラス、IT部門ディレクターなどとなっている。

 グリーンITの実施状況に関する質問では、世界全体の32%(国内24%)が「実施を検討している」と回答。27%(同37%)が「実施中」、18%(同23%)が「実施済み」とそれぞれ答えており、グリーンITの実施が企業共通の取り組みになっている様子が明らかになった。なお、「実施予定なし」との回答は3%(同2%)だった。

 グリーンITの実施理由は、「電力消費の削減」(90%)、「データセンターの冷却コスト削減」(87%)、「グリーンITに対する社内ニーズの高まり」(86%)などだった。

 今後1年間におけるグリーンIT化の予算では、33%(同32%)が「6〜10%増加」と答え、21%(同24%)は「1〜5%増加」と回答した。一方、「削減する」との回答は8%(同5%)だった。

 グリーンITを考慮したハードウェア製品の購入では、89%が「効率性が重要」「効率性が非常に重要」と回答。エネルギー効率が高いながらも価格が以前より高額な製品の購入意欲については、世界および国内とも9割以上が「購入したい」と答えた。従来製品との価格差では、「0〜9%」が25%(同17%)、「10〜19%」が27%(同20%)、「20〜29%」が19%(同33%)となり、国内企業の方が従来価格より高額な製品であっても購入意欲が高い傾向が明らかになった。

 グリーンIT化における情報システム部門の役割では、89%(同92%)が「非常に重要」「重要」と答えた。グリーンIT化の具体的な手段では、「古い機器の交換」(95%)、「消費電力の監視」(94%)、「サーバ統合や仮想化」(93%)などが目立った。57%は「SaaS(サービスとしてのソフトウェア)の利用」も挙げていた。

SaaSをグリーンITの手段として選ぶ意識について

 調査結果について、プロダクトマーケティングマネジャーの朝倉英夫氏は、「2008年の金融危機以降、企業のグリーンIT意識は環境への配慮というよりもエネルギー効率へ向かっていることが明白になった」と指摘。海外では寒冷地や河川沿いにデータセンターを設置することで、冷却コストの抑制に取り組む企業が多いという。

 調査では、夜間にPCの電源を入れたままにする傾向が世界平均よりも国内企業の方が高いことも明らかになった。朝倉氏によれば、米国では年間1800億円相当の電気代が浪費されているというリポートが、国内はさらに高いことが予測される。

夜間に電源を入れたままにしているPCの台数

 朝倉氏は、「PC資産管理ツールを使えば、管理者が遠隔操作でPCのきめ細かい電源管理が可能になる。省電力機器だけでなく、ソフトウェアによるグリーンIT化にも目を向けていただきたい」と話している。

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