NECが中堅市場に注力する理由ニュース解説 国内営業体制を強化

NECが6日に発表したITソリューション事業におけるグループ国内営業力の強化策は、とりわけ中堅市場での売り上げ拡大を狙ったものだ。同社は中堅市場をどうとらえているのか。

» 2009年07月07日 16時18分 公開
[松岡功,ITmedia]

 NECがグループ国内営業力強化のため、グループ内のソリューション事業体制を、10月1日をめどに再編することを発表した。東名阪地域の中堅市場向け営業機能をNECネクサソリューションズへ統合するとともに、大手市場向けの営業機能および東名阪以外の地域の営業機能をNEC本体に統合するのが再編の骨子だ。(ニュース記事参照)。

 最大の狙いは、大手と中堅の市場を切り分けて営業活動を効率化するとともに、中堅市場での売り上げ拡大を図ることにある。

 NECの岩波利光取締役 執行役員常務は記者会見で中堅市場について、「中期的には大手市場を上回る成長が期待される」とし、その成長率について次のような見方を示した。

 「現在の厳しい景況が好転したとしても、大手企業がすぐさまIT投資を増強するとは予想しづらく、伸びたとしても年間1〜2%の成長率だろう。一方、中堅市場は年率3%以上の伸びが見込めるので、われわれはさらに高い目標を掲げて売り上げ拡大に取り組んでいく」

 そして、中堅市場が大手市場を上回る成長を見込める根拠についてこう語った。

 「わたし自身、中堅規模の顧客を伺って感じるのは、ITソリューションに対して、とにかく問題を早く解決してほしい、コストを抑えてほしい、外部とのつながりをスムーズにしてほしい、という3つのご要望が強いことだ。一方で中堅市場では、オフコンなどのシステムを長く使っておられる顧客もまだまだ相当数に上り、リプレースの潜在需要するに大きい。こうした中堅規模の顧客のニーズに対応するためには、営業の仕方も大手の顧客に対して提案内容を練り上げていくような形ではなく、スピーディーに最良の提案を行うことが求められる。そこが勝負の決め手になる」

 中堅市場向けITソリューション事業については、NECの宿敵である富士通も5月に上場子会社の富士通ビジネスシステム(FJB)を、8月1日付けで完全子会社にすると発表した。富士通とFJBが重複して手掛けてきた同事業をFJBに集約する形となる。

 NECと富士通の統合・再編の内容はそれぞれ異なるが、中堅市場での売り上げ拡大に向けて、両社とも「ミニNEC」や「ミニ富士通」の存在は非効率、との判断を下した格好となった。

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