プライベートクラウドを実際に構築する場合、ITリソースの統合や運用プロセスの標準化、業務プロセスの共有化など、乗り越えるべき課題は多い。本稿ではプライベートクラウドを整備する際に踏むべきステップと外せないポイントを紹介する。
システム構築における新たな選択肢になりつつあるのが「プライベートクラウド」だ。本稿では、ユーザー企業が実際にプライベートクラウドを構築、運用する際のステップや注意点を紹介する。
第一回目「プライベートクラウドの誕生と概念」では、コンセプトの説明やXaaSとの違いなどを取り上げ、プライベートクラウドと企業のかかわりを明らかにしている。
まずは、プライベートクラウドの定義を再確認しておこう。
自社の管理下にある情報システムに対してクラウドコンピューティングを構成する種々の技術を適用することで、運用ポリシーやサービスレベルの保証といったガバナンスを維持したまま、クラウドのメリットを享受しようとするシステム構築、運用の考え方。またはそのように構築、運用されるシステム
現状、企業が抱える情報システムの多くはコンピューティングリソースやデータが分散した状態であり、ガバナンスを維持しきれていない。プライベートクラウドの構築と運用を実現するためには、以下のステップを踏んでいく必要がある。
この段階での目的は、外部との連携がなく孤立(サイロ化)した情報システムを物理的かつ論理的に集約し、遊休しているITリソース(資産)を極力減らすことだ。仮想化技術を活用し、分散したサーバやストレージ、ネットワーク機器などのITリソースを統合し、複数の業務やアプリケーションで適切に共用する。
ここでは、統合/共有されたITリソースが常に決まった方法で活用することを目標とする。仮想化されたITリソースが利用できる状態にあったとしても、それを活用するポリシーや手順が、部署や拠点ごとに異なっていては意味がない。頻繁に使われるWebサーバなどのミドルウェアも含めた仮想サーバイメージは、常に一定の手順で配備できるようしておく必要がある。その際、仮想化環境に適用するセキュリティパッチの指針も定めておこう。
ITリソース活用の標準化を実現すると、システムの構築や運用を自動化するための土台が整ったことになる。この段階では、クラウドを活用するユーザー側が、夜間バッチ処理などの業務処理の情報を入力することで、システム側が業務処理に必要なITリソースを自動的に確保し、実行できるようになる。
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