すべては“カッコいい”のために? けんじろう流苦手克服術オルタナティブな生き方 吉田賢治郎さん(3/4 ページ)

» 2009年09月07日 11時30分 公開
[聞き手:土肥可名子、鈴木麻紀,ITmedia]

時間貧乏性? 我が辞書に「面倒くさい」はない

 兄貴体質? うーん、ちょっと違うかもしれません。単に目立ってしまうタイプなのです。気が付くと目立つ運命にあるみたいです。子どもたちの学校に行っても「お父さん目立ってるから気を付けて」と。「手、振ってるだけじゃん」「普通のお父さんは手を振らないの!」なんてね。

 家族仲ですか? いいですよ。子どもたちの買い物に付き合って、「これとこれ、どっちがいい?」なんて選ばされたりね。映画にも大学生、高校生の娘とときどき行きます。何事に対しても面倒くさいと思わないのが、わたしの強みです。仕事も家族付き合いもそう。家族の崩壊は大抵、面倒くさいから始まりますからね。

 その反対に“ぼーっ”とするのが苦手です。本を忘れたときの電車の中ほどつらいものはない、最悪ですね。だってすることがないじゃないですか。家族のおかげで、週末も暇というときがないのが助かります。本気で付き合うと子どもたちはとてもかわいいですし、妻も結婚したときより今の方が、明らかに美人でかわいいです。

 わたしは時間の貧乏性なのです。「この時間にいろんなことやれたのに、ああこの15分もったいないことした」って思ってしまいます。子どもの塾やサッカーなどの送迎では家に戻らずに現地でブログや原稿を書き、エレベーターに乗っているときも携帯電話をチェックします。日課の妻への肩もみの15分の間には、会話しながらニュースとTwitterをチェックしたりと、とにかく何かしていないと気が済まないのです。

 旅行も観光だけというのは苦手で、何かほかにもやっちゃおうって思うのです。ハワイに行くのだったら、せっかくだからホノルルマラソンで走ろうよ、とか。

 実際にやりましたよ。まずは練習ということで、だいたい5キロの隣駅まで家族みんなで走って、行って帰って10キロ。誰かがTSUTAYAに行きたいと言えば、あそこまで片道8キロだから走って行こうとか。家族みんなでジョギングパンツはいてTSUTAYAへ行って、帰りはTSUTAYAのブルーバック持ってまた走って帰る。きっとTSUTAYAではあだ名でも付けられてたのではないでしょうか。でもおかげで、息子は小学校4年生のときにホノルルのフルマラソンを完走しました。奥さんは「完走じゃなくて乾燥」だって言ってましたけど(笑)。

 子どもたちは小さいときからわたしの姿を見ているせいか、家族ってこういうものだ、時間の使い方はこうあるべきだと思っているみたいです。勉強もよくしますし、すき間時間に本もよく読んでいますし、塾いらずです。

 試験の時期になると、週末は娘と一緒にスタバに行くことがあります。うちの奥さん、わたしが家にいるとアレコレ用事を頼みたくなるらしいのですよ、金魚鉢を洗ってとか(笑)。そんなこんなで、家で勉強したりブログを書くのになかなか集中できないから、スタバに行くようになりました。おかげで娘も、勉強するときは喫茶店などに行ってするものだって思っているようです。近所のスタバが9時開店ですので、9時から12時まで2人で店内で勉強したり。店の人は迷惑でしょうけれど、“年ごろの娘を連れてスタバで勉強”って、父親としてカッコいいでしょう? そんな大人になりたいと思って努力してきました。

 家族からはいろんな刺激をもらっています。会社で使ってるNotesのカレンダーに家族との予定も入れているのですけれど、最近ではスタッフに「ここかぶってますよ」とチェックされたりね。だから私のブログの半分は、家族とのエピソードが入っています。

日本企業と外資系企業

 外資系企業に、性別、学歴、国籍は関係ありません。実力勝負です。他業界に比べればずっと間口は広いです。新しい業界かつ成長産業という面もありますが、やっぱり合理的なのだと思います。年齢もあまり気にしませんね。

 わたしの場合は、最初から外資系企業に就職していたらダメだっただろうと思います。本当に何も知らなかったのです。お米屋さんシステムの次に薬局用のマシンを担当したのですが、「処方箋」という言葉を知らなくて。お客様の前でプレゼンしているのに、「ところ、かた……、3つ目の漢字何て読むんでしたっけ?」「3つとも違ってるぞ(怒)」って(笑)。

 外資系といえば、英語もとにかくダメでした。飛行機に乗って「窓側お願いします」が言えなかったぐらいです。あいさつすらできないというレベルでした。

 ロータスに入社するときに安田さんに英語がダメだと伝えたのですが、勉強してくれればいいからと言われまして。とりあえずTOEICを受けたら、225点。それ絶対何かの間違いだからもう1回受けてみてと言われて、ちょっと勉強して受けたら今度は235点。安田さんもこんなにダメとは思っていなかったかもしれませんね。10年ほど前、当時わたしは37歳ぐらいでしたけれど、もうそこから必死に勉強しました。

 1日少なくとも2時間半は勉強しました。会社まで片道2時間通勤でしたから、勉強する時間は十分にありました。近所に翻訳をされている方がいまして。スーパーにあった「英語教えます」という張り紙を見てその方に教わりに行ったら、勉強の仕方を教えてくれました。ひたすらディクテーションする。分からなかったらローマ字で書く。そして日本語を見た後で、テープで実際の発音を聞いて音読する。ひたすらこれを繰り返すことで、必ず英語力が上がると言われました。

 わたしは、本や人から教わったことや会社の研修で習ったことを、忠実に実行することにしています。「そんな研修、現場では通用しないよ」という人もいますが、基礎のできていないわたしには、教わった通りにまずやってみることでしか基礎的なノウハウを身に付ける方法はありませんし、新しいことを実践してできるようになることはとても楽しい。英語の場合もそうでした。

 最初は全部ローマ字ですよ。「アリルファスタ」って何だと思います? 「a little faster」がそう聞こえたのです。「ファスタって何だ?」と。2年かかって、TOEICがやっと600点超えました。大躍進でしょう?

吉田賢治郎さん 「シャカリキで勉強しました」吉田賢治郎さん

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