すべては“カッコいい”のために? けんじろう流苦手克服術オルタナティブな生き方 吉田賢治郎さん(1/4 ページ)

学校裏サイトとの戦いの記録を書き評判になったITmediaオルタナティブ・ブログのブロガー吉田賢治郎さん。吉田さんの考える“カッコいい”生き方、苦手克服術、そして仕事や家族への愛情を語ってもらった。

» 2009年09月07日 11時30分 公開
[聞き手:土肥可名子、鈴木麻紀,ITmedia]

 ITmedia オルタナティブ・ブログの「週間アクセスランキング」で常にトップ10に入るエントリー「学校裏サイトで娘が実名で攻撃され、父としてメールを送ってみた」。書いたのはオルタナブログNo.1の有名人(!?)吉田賢治郎さんだ。平日はバリバリ活躍するビジネスマンであり、週末は奥様と3人のお子さんたちにモテモテのお父さんである吉田さんに、キャリア観やブログについて話を伺った。

“ゾク”からコンピューターの世界へ。キーワードは「カッコいい」

吉田賢治郎さん 『けんじろう と コラボろう!』 吉田賢治郎さん

 「学校裏サイト」エントリーの反響は、自分が思っていた以上に大きく、びっくりしました。あれがきっかけで取材を受けたり、論壇誌に寄稿したりと、ITmedia オルタナティブ・ブログのおかげで活動の幅が広がりました。

 この10月に、そうした問題で悩んでいる親御さん向けに「頼れるお父さんのネットマニュアル〜子どもをネットから守り、ネットで育てる」という本を出版する予定です。インターネットも携帯電話も自分たちの子ども時代にはなかったツールですから、それらとの付き合い方に悩む親御さんは多いでしょう。実は編集者もみんな現役の“お父さん”で、デザインやプロモーションなど、非常に力を入れて取り組んでくれています。

 10代のころは、“ゾク”をやっていました。いわゆる暴走族というやつです。当時は写真集まで出版されるほど、全国的に暴走族が盛んな時代でしたから。高校は地元の、こういってはなんですが偏差値の低い学校でしたので、勉強はほとんどしませんでした。中学、高校は母1人に育てられ、学費から食事までほとんど自分の収入でやっていましたので、アルバイトに明け暮れました。飲食店のウエーターやデパートのエレベーターボーイをやったり、建設現場で力仕事をやったり。

 でも小さいころは、のび太君タイプのいじめられっ子でした。勉強もできませんし、運動もできません。意見どころか「No」も言えません。そういう子だったものですから、放課後になると先輩につかまってはワルさを教えられたわけです。ステッカーを売らされたり、バイクに乗せられたり。まぁイジメの一種ですけれど、そうこうしているうちにバイクの乗り方を覚えて暴走族というものに入りました。いじめられっ子だったわたしがワーっと何かをやる快感を覚えたという意味では、暴走族に入ったことは子ども時代の1番の転機だったのかもしれません。

 次の転機は、大嫌いだった「営業」になったこと。

 コンピューターには興味がなく、ウルトラマンに出てきたテープ装置ぐらいのイメージしかありませんでした。きっかけは中学3年生のとき、本屋でたまたま『マイコン入門』という本を手にしたことです。著者は当時NEC(日本電気株式会社)の副社長だった大内淳義さん(故人)。「コンピューター」はカタカナですし、「ROM」「RAM」など英語3文字はカッコいい。NECもIBMも英語3文字でカッコいいですし、そこに務めるコンピューター技術者はカッコいいなと思っていました。カッコいい技術者になってモテたかったのです。結婚するまでのわたしの中では「カッコいい=モテる」(笑)。この本を手にしていなかったら、IT業界には来なかったかもしれません。

 学生時代は、当時花形だったプログラマー、SEになりたいと思っていました。ですから、COBOL、アセンブラ、PL/1、パスカル、FORTRAN、Basicなど、プログラミングに没頭しました。

 『マイコン入門』を手にしたときから就職先はNECなどのコンピューターメーカーと決めていたのですが、学校には募集が来ませんでしたので、いろいろ調べて説明会に飛び込みで参加しました。

 そして、技術者として入社しました。そう、技術者としてです。営業ってカッコ悪いって思っていましたから。アタッシェケース抱えて、疲れた顔して、人生に疲れたかわいそうな人というイメージでしたので、営業にはなりたくないなと。失礼な話ですよね。

 ところが新人研修が終わって配属された部での自己紹介の後に、こちらへって営業の方に誘導されたわけです。「え、わたし、営業じゃないんですけれど」と言いましたら「いや、君は営業」と言われて。新人研修の際にちょっと目立ちすぎたのかもしれません。課題はグループで提案を作るようなものだったのですが、グループワークでは仕切るしすべての発表はわたしがするしで、目立ったのでしょう。

 3日間位悩みました。営業になるくらいなら会社をやめようかと思いました。プログラマーやSEでないとカッコよくないと。先輩に「アタッシェケース買わなきゃね」と言われて、また落ち込んだりしてね。

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