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サーバ統合を見据えたジョブ関連の機能向上JP1 V9 Review(1/3 ページ)

サーバ統合による管理対象の大規模化にともない、従来型のジョブ管理機能では不足が出る事態も考えられる。JP1 V9では先手を打つ形で関連する機能を拡充した。

» 2009年10月14日 08時00分 公開
[友成文隆(日立製作所),ITmedia]

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ジョブ管理とは

 JP1のジョブ管理は、業務フローやカレンダーなどで設定された運用計画に基づいた業務実行と運用監視によって、コスト削減やミス、不正が起こらない安定したシステム運用を実現するための製品である。JP1 V9では、ジョブ管理のアーキテクチャ刷新による性能改善に加え、操作性の向上を図った。これにより、PC1台の小規模構成から大規模システムでも拡張できるようになった。

ジョブ管理の概要 ジョブ管理の概要

トレンドはサーバ集約

 高性能サーバへの業務集約、ブレードサーバの投入と、止まることが許されない基幹システムの大規模化は加速され、信頼性だけではなく、スケーラビリティや業務の効率化が要求されている。このような背景から、ジョブ管理の基本アーキテクチャを10年振りに見直し、前バージョンと比較してジョブ起動時間が、例えば8多重での場合には「10分の1」に短縮された。

 その方式は、下の図で示すように、ジョブ実行制御や通信処理をマルチスレッド化し、またスケジューラキューをメモリ上で処理するというものである。

大規模システムで威力を発揮するジョブ管理の最新アーキテクチャ。プロセスやジョブ配信を多重化するとともに、スケジューラキューをメモリ上で処理 大規模システムで威力を発揮するジョブ管理の最新アーキテクチャ。プロセスやジョブ配信を多重化するとともに、スケジューラキューをメモリ上で処理

利用目的に応じて画面をカスタマイズし、操作性を向上

 今回のバージョンアップは性能改善だけではない。システムの大規模化にともない、運用管理者の役割にも専門性が問われるようになり、例えば業務開発を行う開発技術者、システム運行を監視する運用管理者、トラブル対策やヘルプデスクを担当するシステム管理者と、立場によって見たい画面や操作ニーズが異なることに着目し、従来は全て共通の画面でジョブを開発、監視などを行っていたのに対し、今回のバージョンでは、目的に応じてカスタマイズできる目的ビューという考えを取り入れた。これにより、自分の仕事に関係する部分だけを優先的に見られるようにし、操作面でも権限を付与できるようにした。さらに、長年使い慣れた利用者のために従来と同じ操作を可能にする互換モードも用意した。

“目的ビュー”という考えを取り入れた操作画面の例。左が利用者メニューで、ユーザーの目的に応じたメニューが表示される。また連動して、画面右下には関連情報が表示される “目的ビュー”という考えを取り入れた操作画面の例。左が利用者メニューで、ユーザーの目的に応じたメニューが表示される。また連動して、画面右下には関連情報が表示される
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